■撮影共通データ:キヤノン EOS R10 絞り優先AE WB:オート ISO100 JPG
シグマ 16mm F1.4 DC DN | Contemporary の主な仕様
●焦点距離:35mm判換算25.6mm相当
●最短撮影距離:0.25m
●最大撮影倍率:1:9.9
●レンズ構成:13群16枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:φ72.2×90.3mm・415g
●付属品:フード
シグマ 23mm F1.4 DC DN | Contemporary の主な仕様
●焦点距離:35mm判換算36.8mm相当
●最短撮影距離:0.25m
●最大撮影倍率:1:7.3
●レンズ構成:10群13枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:52mm
●大きさ・重さ:φ69.0×76.9mm・345g
●付属品:フード
すでに定評のあるレンズ。実は別マウントを所有していました。
16mm。スナップでボケを使うことは希かもしれないが、主題を目立たせてなおかつ後ろも見せるという撮り方も大口径ならこなせる。これが標準ズームだと絞り値が暗いため不必要に後ろがハッキリと写ってしまう。
■絞りF1.4 1/4000秒 マイナス0.3露出補正
16mmは2020年7月に、23mmは2023年4月に他マウント用はすでに発売されていたが、今回ついにキヤノンRFマウントに対応。キヤノンのAPS-C用の純正レンズのラインナップは少なく、また単焦点レンズはフルサイズ用を兼用できるもののF1.4クラスは純正では高価なラインしかないため、巷ではシグマさま!との声も聞こえてくる(笑)。ここにきてキヤノンのRFマウントのAPS-C用レンズの選択肢はかなり広がってきたといえるだろう。
16mm。広角らしく大樹を見上げて枝振りを。絞っていることもあるが周辺までキッチリ。樹皮の質感再現もとても良い。
■絞りF8 1/640秒 マイナス1.7露出補正
新モデルとしての紹介ではあるが、レンズ自体は前述の通りすでに発売されているものと光学系は同じだ。どちらのレンズもすでに定評があり、価格、サイズ、画質のバランスがとても良い。いや、画質に関してはいい意味でアンバランスに抜け出しているといえるだろう。中央から周辺までキレがあり非常に高画質なのだ。
実は16mmは筆者も以前所有していた。広角ながら背景をぼかした撮影ができるからだ。その後、所有機材のマウント変更の際に手放したのだが、レンズそのものに不満はなかった。ということで、現在メインとしているRFマウント用が出たのでもう一度購入しようかと気持ちが揺れている次第だ。
純正「コスパ重視」とはカブらない「本気撮影」への期待
23mm。普通こういうシーンはf4~5.6程度に絞って撮るものだが、電子シャッターに切り替えて開放絞りで撮影。観覧車の骨組みまでキッチリシャープに。パイプのつなぎ目やボルトなどもしっかり解像している。これはオミゴト。
■絞り1.4 1/8000秒
EOS R系ユーザーには新しい選択肢であり、新鮮味をもって見ることができるだろう。画角は135ミリ版換算で16mmが25.6mm相当、23mmが36.8mm相当となる。純正RF-Sにラインナップされている標準ズームが18mmスタートであることを考えると、16mmは「もうちょっとワイド」が狙え、広角ズームのみを使っている人には「もうちょっと標準寄り」が手に入る。しかも明るい大口径でだ。
サイズ感としては純正のRF-S標準ズームよりは大きく重くなる。が、そもそもRF-Sレンズ標準ズームはキット用であり、どちらかといえばコスパ重視のもので、ここで紹介する2本と比べるのは酷というもの。
23mm。ハイ。これはもうお得意の玉ボケです。大口径ならではの大きな玉ボケを楽しめます。口径食はあるがサイズを考えれば妥当なところ。25cmまで寄れるのでよほど小さなものでなければ花撮影もこなせるのだ。
■絞り1.4 1/500秒
これら2本のレンズはAPS-Cサイズのカメラで本気の撮影ができるクラスのレンズなのだ。そういう意味ではF1.4の大口径レンズとして考えればとてもコンパクトだ。シグマのフルサイズ用F1.4モデルと比べてもかなりコンパクトであることがわかる。APS-C用だからこそのコンパクトさだ。
今回は筆者個人所有のEOS R10と組み合わせて撮影したが、いずれのレンズもバランス良く、延長グリップが欲しくなるようなことはなかった。
APS-Cレンズでも「作品制作」はできますから!
16mm。いつも撮る枯れたアジサイ。最短撮影距離で開放絞りではわずかにフワッとした甘さもあるが、それでも花の筋のエッジはちゃんと再現できている。ここから1、2cm下がるだけで描写は良くなる。
■絞りF1.4 1/4000秒 マイナス1.7露出補正
画質はとても高く、開放F1.4でも周辺までシャープだ。どちらのレンズも25cmまでの近接撮影が可能で、最短撮影距離付近でも画質は高い。16mmは最短こそややシャープネスが落ちて柔らかさを見せるが、最短から2、3cm離れればキレを取り戻す。
23mm。キレがあり階調の再現性も良く、質感描写ももちろん得意。光と影の描写もしっかりだし、ペイントのムラの質感などもしっかり丁寧に再現できている。
■絞りF5.6 1/2000秒 マイナス1.7露出補正
通常なら多少絞って撮るようなシーンを今回は開放絞りを多用して撮影してみたりもしたが、画質的に破綻したカットはなかった。「APS-Cで作品を撮る」なら持っていたいレンズといえるだろう。
開放絞りを積極的に使っていくなら、電子先幕シャッターやメカニカルシャッターの設定ではシャッター速度の高速側が足りないケースも出てくるため、必要に応じて電子シャッターに切り替えたり、拡張ISO感度(機種による)で極低感度を設定するなどしよう。
23mm。波状板に描かれたペイントをサイドから開放で。ボケは自然で硬さはなく、ピント位置から徐々にボケていく様はとてもきれいだ。ボケがうるさくなるレンズではこういうシーンが撮りにくいが、本レンズにはそれがない。
■絞りF1.4 1/4000秒 プラス0.7露出補正
また、毎度説明しているが、非純正レンズであるためデジタルレンズオプティマイザは使用できず、その代わり歪曲、色収差、周辺光量などの一般的な光学補正を利用する形となる。さらにコントロールリングはなくシングルリングだが、カメラ側設定でピントリングをコントロールリングとして使用することができるので好みで設定したい。
16㎜。25cmまでの近接撮影が可能でこのようなカットも楽々。最短撮影距離から1cm下がった位置でのだが、画質は十分キレがあり、ボケは大きくソフトで自然。
■絞りF1.4 1/2000秒 プラス1.0露出補正
ということで、シーンを選ばず使っていけるポテンシャルを持ち、キヤノンのAPS-C機をワンクラス上の画質にしてくれるこれらのレンズ。価格帯はポイントなどを引くと実売で6万円代前半~半ばといったところ。この明るさと画質であればかなり安いといえるもの。これまでに紹介しているシグマのRFマウント用レンズ同様、ちゃんとAPS-C機を使っていくなら持っていたいレンズだ。