シグマ70-200mm F2.8 DG DN OS|Sports Lマウント版 主な仕様
●焦点距離:35mm判換算70-200mm相当
●最短撮影距離:0.65(W)-1.0(T)m
●最大撮影倍率:1:5.2(焦点距離200mm時)
●レンズ構成:15群20枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:11枚
●フィルターサイズ:77mm
●大きさ・重さ:φ90.6×205.0mm・1345g
●付属品:フード 三脚座 ケース
ゴージャスなフード、インナーズーム、そして痛い三脚座…。
↑というサマリーとともに、昨年末にEマウント版のインプレ記事が公開されています。
今回はLマウント版でのインプレになります。またLマウント版のみテレコンに対応していますので、今回はTC-2011というシグマの2倍のテレコンとの組み合わせについても触れています。
ところで、24-70mmF2.8はArtラインだったのに、こちらはSportsなんだ、という薄っすらとした疑問はあれど…守備範囲的にもスピードとタフネスへの要求度はコチラのほうが高そうなので、「Sports」ラインであることは必然なのかな。
サイズ感は全長205mm、最大径は約91mm。フード装着状態では全長約250mm、被せ式のフード径は約100mmでした。またフードはネジ式のロックで、ここが出っ張っているので最大径は120mmくらい、と受け止める方が健全です。
フード先端にはラバー処理がされているので、レンズ下向きで置く際の安定感は抜群。だけどどフィルターワークを楽しみたい場合には窓の付いたフードが恋しくなりそうです。でも、このフードはカーボン製(正しくはカーボンファイバーを含むポリカーボネート)ですので、全てが許されます。この瞬間がSportsなのでしょう。
インナーズームなので、ズーミングによる全長変化はありません。
重量は1345gなので、このクラスとしては標準かやや軽いくらい。三脚座は手軽には外せないシステムです。三脚座の回転する部分(鏡筒?)には何箇所か強い磁性がある箇所がありました。位置的にHLAの磁石だと思いますが、クレカなどは近付けない方が吉でしょう。
アルカスイス互換の座面は身体に当たるとかなり痛い系なので、形状にもう少し優しさが欲しいところ。これは15mmF1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYEや500mmF5.6 DG DNのインプレ時にも同じ事を思いました。
良くも悪くも気になったのは、ズームリングがレンズ先端に配置されていること。24−70mmF2.8 DG DN | Artはレンズ先端がピントリングなので、シグマレンズでF2.8ズーム軍団を構築すると本レンズだけがそうなりますので、運用時に手が泳いで「あれ?」となりそうです。
とはいえSportsラインのズームレンズは先端側がズームリングとなっているので、どちらに慣れているか? で感じ方は違うと思います。
ちなみに本レンズの仕様の方がズーム操作しつつ小指でフォーカス操作もできるので合理的。特に動物園の檻などのように被写体の前後に障害物がある状況では、適宜ズーム操作と併用でフォーカシングもできるので、より実戦的である、と好意的に受け止めようと思いました…が、そもそも論で言えば自分は小指or薬指でズーム操作したい派なので、やっぱり気になりました。150-600mmとかだとレンズ先端がズームの方が嬉しいのだけどね。ま、好みの問題だと思います。
「初動無反応」なのはボディとの相性? それとも?
各部の操作感はとても上質だけど、ズームリングがテレ端もしくはワイド端に当たった場合に「カツン」という響く系の打感があり少し気になりました。
重さはRF70-200mmF2.8(Zじゃないヤツ)などの極端に軽い製品と比べなければ、許容範囲内です。DSLRから乗り換えであれば軽量化を実感できそうです。ズームによる重量バランスの変化も僅少で良い感じ。
HLAによるAFはS5ⅡとS1でそれぞれ試しましたが、お世辞抜きで高速かつ高レスポンス。テレコン装着時でも明確にAF速度が低下することはありませんでした。
気になったのは、テレコン装着かつS5Ⅱとの組み合わせで、AF-Cかつ被写体認識AFもしくは追尾で動作、という条件で、初回AFまでに5秒程度無反応な時間が生じることがソコソコの頻度であったこと。これは環境の照度や対象のコントラストは関係なく発生しました。
AF-Sや小さめのゾーンでは発生頻度はかなり抑えられますが、それでも時折反応が悪くなるので気になります。S1では追尾で顕著に反応が悪い場合がありました。
おそらくカメラ側の制御の問題かと思いますが、これらの機種との組み合わせでは注意が必要かも知れません。テレコンを組み合わせない場合では特に気になる動作はありませんでした。
テレコン併用でも画質に不満ナシ! 接写性もソニーと比べなければOK…。
写りは申し分ナシ。こんなに写って良いの? とビックリするくらいには開放絞りから写ります。特に中距離より至近側でそれは顕著。ただし、遠景描写だけで言えば、大きく重いF2.8ズームで運用するよりも、もっと都合の良い選択があると思います。
テレコン装着時でも写りの印象は変わらず。日中晴天の条件で、開放絞りでも滲みはほぼ無し。本当に凄い性能だと思います。直接比べたワケではありませんが、100-400mm F4-6.3 DG DN | Contemporaryと同等かシーンによっては良いかも? という感触ですが、ライトバズーカの方が軽くコンパクトなので… … …まぁ両方買えば良いですね。
逆光耐性は、イジワルしなければ十分に高性能という感じ。フードの有無関係なく、強い光源が画角ギリギリや直接画角内に入るようなイジワルをするとフレア・ゴーストが目立つシーンがあります。どちらかと言えば、スポーティな使い方よりも風景シーンで、場合によっては気になるかも? という感。
使い勝手については、撮影倍率含む接写性がもう少しあれば、という気持ちは、正直ありました。が、これはソニーのFE70-200mmF2.8 GM OSS ⅡやFE70-200mmF4 Macro G OSS Ⅱを知らなければそうした不満は出ないと思います。というかLマウント版としては申し分のない接写性なので、文句言うだけ野暮かも知れませんが、一応ね。
「シグマを選ぶ理由」というのは確かにありますね!
F2.8ズームとしては比較的お手頃価格を実現しているにも関わらず、強力なAF性能と手ブレ補正を持っていて描写も満足。つまるところは、お買い得感がエグいレンズです。このクラスの純正レンズは軒並み目が回るようなプライスなので、福音と言っても過言じゃないでしょう。質感も良く、所有欲を満たす仕上がりであることもマル。
Eマウント版の場合、より高速なレンズ通信とテレコン対応、接写性などで純正を選ぶメリットがあるのだけれど、Lマウント版では純正レンズを選ぶメリットがとても限定的。ソニーは本当に商売上手だな、と思いました。
Lマウント版はこのクラスとしては小型軽量に仕上がっていて、このサイズ感は選択する理由となり得ます。
ただし、仮に何か気になることが合った場合に「あの時純正を選んでおけば」問題はついて回りますので、精神的な部分を重視するなら間違いのない純正がオススメ。価格差をモノともしない自身のおサイフ事情に胸を張るべきです。
シグマを選ぶ場合は、やはりサイズバランス。メンタルよりも運用上のメリットを選択できる冷静さは尊いものです。