秀千代はん、淀の直線を超えてロンシャンに登場!?
同展は、フランスやオランダなど海外の著名作家作品と、公募により選出された邦人作家作品が合同展示される展覧会。油彩画や日本画などの平面作品に加え、ガラス工芸や彫刻、建築・空間デザインの作品など、多様な分野の作品を受け入れている。
毎年8月8日~18日に東京都の国立新美術館で開催。海外作品約100点と公募展で入選した邦人作品合計500点以上が展示され、鬼界順の写真は6点出品。
出品作は、フランスで著名なサロン・ドトーヌ、ル・サロンなど美術展覧会の会員役員ら有識者が審査を行い、最高賞の大賞など7つの賞で合わせて17作品を選出。このうち、第25回日仏現代美術世界展の特別賞であるザッキ賞に、鬼界順の作品「ERIKAE」が選ばれた。ザッキ賞は本展名誉会長の名を冠した初の特別賞。
「ERIKAE」は、2021年から2024年にかけて、富士フイルムX-T5で撮影した6枚の組写真。舞妓が芸妓になる大切な儀式"衿替え"を主題にモノクロ調で表現した作品。色彩を省いたシンプルな構成、明暗や濃淡にこだわり銀塩プリントで仕上げパネル展示。舞妓・芸妓を被写体に、日本文化のもつシンプリシティーに着目し、撮影を続けている。
日仏現代美術世界展
日仏現代美術世界展(Instagram)
緊張と緩和…鬼界順
「年月を重ねるなかで美しく変化していく、秀千代さんの表情や仕草、所作を追求しています。舞妓さんから芸妓さんへ、衿替えの期間特有の緊張感、そしてホッとリラックスした緩和の一瞬をスナップしました」
銀塩プリント
4分の1世紀のお付き合いのプロラボ(プリントディレクター)にお願いしています。何回もテストプリントを重ね、最後は阿吽の呼吸で仕上がりまで進めていただいています。どこかフィルム時代を彷彿とさせる、そんな調子が私の好みの一枚です。
【衿替え・えりかへ】
京都の花街では舞妓から芸妓になる時期を衿替えと呼び重要な期間とされます。舞妓の髷を先笄という形に結い上げ口元をお歯黒に染め上げた容姿は独特の古典美を醸します。
芸妓になると、これまで地毛で結っていた日本髪は、かつらを用いることになります。芸妓は年季が明けると置屋から独立して生計を営むようになります。