※撮影共通データ ■パナソニック LUMIX S5 絞り優先AE WB:オート
シグマ 24-70mmF2.8 DG DN Ⅱ | Art Lマウント 主な仕様
●焦点距離:24-70mm
●最短撮影距離:17cm(W)/34cm(T)
●最大撮影倍率:1:2.7(W)/1:4(T)
●レンズ構成:15群19枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:11枚
●フィルターサイズ:82mm
●大きさ・重さ:φ87.8×20.2mm・745g
●付属品:フード ケース
ちょっと引いてしまうくらいのシグマの鼻息ですが…。
前述したようなアピールや ”圧倒的進化” みたいな文句が登場すると、個人的には「今までは気合が入ってなかったの?」とか「現役時代はあれほどアピールしてたのに、嘘だったの?」みたいな悪意のある読み取り方をしてしまう偏屈野郎なのですけれども、今回のシグマのアピールは、筆者のビンビンな捻くれセンサーを絶妙に回避しているように感じます。
ということで、2019年に登場した24-70mmF2.8 DG DN | Artがモデルチェンジされました。
進化点はズーム全域での解像力向上と倍率色収差やサジタルコマフレアなどの良好な補正といった高画質化。絞りリング追加による操作性の改善。AFアクチュエータがHLA(いわゆるリニアモータ)採用などによって高速・高レスポンス化していながら、体積比で約7%、重量比で約10%の軽量化が達成(Lマウント版で約90gの軽量化となる745gに)されています。
コンパクトになったぞ! と大手を振って歓迎したいけれど、フードはデカい(太い)ので、バッグへの収納性が大きく改善されたワケではないってところは注意が必要。
こういったハイクラスレンズが比較的短いスパンで最新技術をブチ込まれて更新されるのは、シグマならではって感じがします。常に最新技術を楽しめる一方で、レンズを長く愛したい派の人にとっては少し寂しい気持ちが芽生えそうではありますが、電子機器は世代交代のスピードが非常に速いので、古い世代の部品を引っ張るとコストが余計に掛かってしまうという側面もあり、適宜更新していくほうが合理的という判断もあります。
個人的には、ハイスペックなズームレンズほど定期的に更新して常に最新&最高性能って戦略の方が好印象です。
ギリギリ持ち歩けるサイズ感。質感・剛性感はハッキリと向上していました。
コンパクトになったとは言え、まだまだ大きなレンズ。結構デカいな、ってのが正直な感想で、持ち歩けるギリギリのラインだと思いました。
筆者が普段使っているXF16-55mmF2.8R LM WRと比べると「フルサイズ対応でこのサイズ感と重さ(+90g)なら、このレンズを主軸としてメインシステムを再編しても良いな。こっちのが寄れるし」ってのが素直な感想です。
質感は非常に高く「いつものシグマ」。新設されたズームロックスイッチは、24mm時のみロック操作が可能で、ズーム操作することで自動でロック解除できる。ちなみにバッグから取り出す時にフードが引っ掛かってもロックが外れるくらいのロックの硬さでした。この設定とした背景には様々な苦労があったことが想像できます。
ズームリングの重さは適切な感じで、「勝手に伸びたりしないのでは?」と思って35mmくらいの位置にズームして、手持ちで3分ほど歩き回ってみたらシッカリ伸びてましたので、ズームロックスイッチは有用です。任意の位置でロック出来ると尚良いと思われますが、難しいのかな?
フードの剛性感と装着感は申し分なく、ブラインド操作でも確実に着脱できて素晴らしい。
HLA採用によってAFは素晴らしく快適。「コレだよ、コレ」って感じ。EとL以外のマウント、特にZ版なんて登場したらドエライ騒ぎになると思います。
ジワジワくるのよ。座談会での自分の発言を後悔しています…。
今回組み合わせたボディはLUMIX S5。総合的な感想は「撮ってビックリ」でした。
撮ってる時は「ふーん、まぁ新しいだけあって、シャープで良く写りますね」程度の感覚でした。写りの良さよりもHLAによる快適なAFにニンマリしてたのと、マクロレンズ並に寄れることにワクワクしていただけで、どちらかと言えば使い心地や、寄って撮りたいという気持ちを妨げないストレスフリーな使用感の良さにばかり感心していました。
潮目が変わったのはスマホに画像転送してチェックした際。使われているかどうか分かりませんが、カメラマンリターンズの座談会で「パッとしない」などと失礼極まりない発言した事を強く悔いました。
経験上ね、カメラの表示デバイスよりもスマホみたいな高精細ディスプレイで見ればもっと印象が良くなるって理解はあるから、カメラでコレくらいの感触だったらPCではこのくらい良いのだろう、みたいな感覚は持っているのだけど、その予測を超える感動があったので「何ということだ…」って思いましたよ。
月並みな表現だけど、高性能な単焦点レンズと混ぜて使っても分からないくらいに描写が良い。従来型も良かった記憶ありますが、完全にワンランク上って感じ。解像力とかの差で言えば、拡大観察してもおそらくそこまでの違いは無いと思いますが、1枚の写真で見た時の印象が違うって感じ。少しずついろんなところが良くなっていて、塵も積もれば山となる方式で、トータルでの印象が変わってくるって言えば良いのかな。
チャートとかで比べても大騒ぎするほどの差はないと思います。かと言って、1枚の写真で見た場合の差としても、撮影者本人が思っているほどのパワーはないでしょうな。だけど、写りが良くて使い心地も良いとなると、気分が全然違うよね。
単焦点とも遜色ナシの描写&純正よりもはるかに動ける!
サイズ感と明るさで言えば、シグマには28-70mmF2.8 DG DN | Contemporaryがあります。F2.8ズームが欲しいって場合には、本レンズの半額程度で手に入るし約300g軽いってのが魅力。対応マウント機を持っているなら筆頭候補と言っても過言ではないでしょう。
行動半径を広げたいならコンポラを。掘り下げたいならArtを、って選び方が良いと思いました。
その理由としては、F2.8っていうと明るい感じがするけれども、単焦点レンズ遊びするようになると、F2.8って別にそこまで明るいワケではないって感覚になるから、明るさではなくどれだけ出来ることが増えるか? みたいな視点で選択をするようになるとトヨタは考えています。すると、Artはサイズは犠牲になるけれども、出来ることが多い。AFと接写性だね。
一応過去にα7R IVと28-70mmF2.8コンポラで撮った画像を観察してみましたが、パッと見で分かるくらいにはArtの写りの印象が良かったです。
だけど、写真の作品性を左右するか? と言うと否で、どちらかと言えば、上述の通りモチベーション(気分)の差として効いてきます。
コンポラは、やはりサイズ感にコダワリたい時に輝いてくるので、撮り比べるのは野暮だな。使い方次第だし、どんなシステムを組みたいのか?でも判断は変わります。
ズームレンズが良くてサイズは度外視って感じなら、シグマには28-45mmF1.8 DG DN | Artっていう狂ったレンズがあるので、F2.8に固執する必然性もないよね。
ってことで「高性能だけど可能な限りサイズも頑張ったレンズが欲しい。でもやっぱり画質は譲れない」みたいな気持ちがある場合には本レンズはピッタリです。特にLマウントユーザーに刺さると思いました。LUMIX S 24-70mmF2.8PROの写りは目眩がするほど素晴らしいけど、デカい&重い(約Φ91 x 140mm&約935g)ので、持ち歩くには相当厳しいと思われます。