10月26日に発売されたコシナ・フォクトレンダーの「NOKTON 50mm F1 Asperical RF」は開放F値F1.0のとろけるようなボケ味と、シャープなピントのバランスが絶妙な大口径単焦点レンズです。そして、このレンズの最大の特徴はキヤノンのライセンスを受けた初めてのサードパーティー製レンズだという点に尽きるでしょう。

コシナ フォクトレンダー NOKTON 50mm F1.0 RF-mount 主な仕様

●焦点距離:35mm判換算50mm相当
●最短撮影距離:0.45m
●最大撮影倍率:1:6.9
●レンズ構成:7群9枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:12枚
●フィルターサイズ:67mm
●大きさ・重さ:φ79.3×64.0mm・650g
●付属品:フード

適度な周辺光量落ちは「味」のひとつ?

 
「メーカー公認」ということで、電子接点により撮影情報のExifの記録が可能になった他、ボディ内手ブレ補正機構搭載のカメラでは3軸のボディ内手ブレ補正が作動します。

一方でボディ側での収差補正には非対応のため、撮影シーンによっては周辺光量落ちが目立つ場合もあります。しかし(あくまで私の意見ですが)このレンズにおいては、それはデメリットというよりむしろレンズの描写とマッチした「味」として楽しめると思います。

以下、絞りを変えて招き猫の集団を撮影しました。F4.0と比較するとF1.0で撮影したカットは周辺が落ちていることが分かります。が、個人的には単体で見る分には気になるほどではありませんし、むしろ四隅が引き締まった感じがします。

絞りF1.0

■絞りF1.0 1/250秒 プラス2.0露出補正 ISO100 
□撮影共通データ:キヤノンEOS R6 MarkⅡ WB:オート ピクチャースタイル:スタンダード

 

絞りF4.0

■絞りF4.0 1/80秒 プラス2.0補正 ISO640 

 外観上は、絞り・ピントリング共にキヤノンのEOS Rシリーズのローレットパターンに準じたデザインとなっており、カメラに装着した時の一体感もあります。また、絞りリングを動かした時のカチカチというクリック感も小気味良いものでした。

それでいてマニュアルレンズにとって最も重要なポイントと言ってもいいピントリングのなめらかさは、F1.0の浅いピントの芯を捉えるのにも申し分ありませんでした。AFでの使用が圧倒的だったEOS R系においては実に新鮮です。

大口径レンズが見せてくれる、独特な世界

さすがにピント合わせは慎重に行う必要がありますが、絞りF1.0で見る日常は「驚きの連続」です。

 

■絞りF1.0 1/400秒 プラス1.0露出補正 ISO100

ふわふわな毛並みとピョンピョンしたヒゲの質感の違いも際立ちます。

■絞りF1.0 1/250秒 プラス2.3露出補正 ISO100

こちらにまったく興味のない猫を追いかけながらのピント合わせでF1.0はさすがに無謀だったので、少々絞り込んでパシャリ。

■絞りF2.8 1/50秒 プラス1.0露出補正 ISO200 

F1.0という極薄のピントで動きモノを捉えるのはなかなかに至難の業ですが、じっくり向き合える被写体と対峙した時に、この開放F1.0のボケ味が存分に生かされると思います。ただし、ほんの少しピント位置を動かしただけで被写体の表情が劇的に変わってしまうので、厳密なピント合わせの際は拡大表示にするのをオススメしたいです。

■絞りF1.0 1/3200秒 プラス3.0補正 ISO100 

写真において撮影者の意図を反映させるのに、「絞り」の持つ役割は大きいと思います。「NOKTON 50mm F1 Asperical RF」は開放F1.0という極小絞りでありながら、ピントが合った瞬間に被写体の存在が前面に浮かび上がってくるような描写がとても魅力的なレンズです。

金属製のボディでありながら、スペックから考えるとかなり軽量コンパクトに仕上がっているのも驚きです。クラシカルな外観も含めて、所有する楽しさも感じさせてくれるレンズだと感じました。ぜひ一度実物を手に取ってみてもらいたいです。