シグマから、ミラーレス専用高倍率ズームの真打とも呼ぶべき60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sportsがいよいよ登場。2018年秋に発売された、同じ仕様の一眼レフ用Sライン=60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMは某カメラ誌にて使い倒したので、その優れた描写性能と被写体適応力に関してはよーく覚えております。

超望遠でなくてもなんですが…ネコ撮。

■295㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F5.6 1/500秒) ISO6400

■147㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F5.6 1/125秒) ISO1250

公園の出口では俺も撮れよと言わんばかりの野良猫を激写。いずれの焦点距離も高倍率ズームとは思えないほどシャープでコントラストも高く、ちょっと剛そうな毛並みの質感も再現できています。

ボケ味は柔らかくフォーカスアウトしていく様も自然。どの焦点距離も安心して使え、レンズ交換しないで済むのは本当にありがたいこと。この写りならポートレートにも…なんて言えそうですが、その場合は正直300mmより長焦点距離は不要ですよね。そんなに距離が離れたらモデルとの意思疎通もタイヘンですし。

ええ、鳥ですとも。飛んでいますとも!

■600㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F6.3 1/1250秒) ISO1000

■600㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F6.3 1/1600秒) プラス2.0露出補正 ISO1000

■600㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F6.3 1/1600秒) プラス1.3露出補正 ISO1000

鳥の飛翔シーンの撮影では、背景が空など単調な場合は被写体への食いつきも速くピントを持って行かれる要素が他にないこともあって、概ね良好な結果。しかし背景を入れ込むと食いつきが鈍いことや追従中に外れてしまうことが数回。

原因がβ機によるものかカメラ性能によるものなのか、それとも両方なのかは判断はできません。もしかしたら正月太りで鈍った自分の腕前のせいかもしれませんね。でも望遠レンズのレビューでは定点的に撮影していたシーンなだけに、少々ストレスを感じたことは事実。もちろんきちんと追従撮影できている場面もあるし製品版ではもっと歩留まりがよくなることに期待。

そしてヒコーキ! なんたって600mmですからーーー!

ヒコーキの撮影では高倍率ズームの強みを十二分に味わえます。フードの付け根あたりを掴んで直接伸ばしたり縮めたりする直進ズーム的な操作が可能なおかげで、60-600mmの焦点距離域をすばやく選択できるシーン対応力はホントにありがたい。

ブルーインパルスの展示飛行などでは編隊飛行からソロまで150-600ミリズームよりは確実に狙えるシーンが多くて重宝することは確実。今の時期は残念ながら航空祭がないけれど、こんなレンズが手元にあるからにはどうしても自衛隊の機体が撮りたくなり、茨城の百里基地まで行ってきました。


小手調べは航空自衛隊の救難捜索機U125-Aを600mmで。スカッと晴れた青空の再現性が気持ち良いこと。窓から地上の様子をうかがう隊員さんの顔までバッチリです。
■600㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F6.3 1/2000秒) ISOオート(640)

インドからのお客さん。撮影委場所の選定がイマイチだったの不本意ですが、日本ではめったに拝めないスホーイSu-30MKIのお腹をしっかり写せました。
■600㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F6.3 1/2000秒) ISOオート(500)

自衛隊のF-2機とスホーイSu-30MKIの雄姿。いや、これなら150-600mmでも間に合うでしょ。ってのは言いっこナシで。
■313㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F5.6 1/1600秒) ISOオート(500)

さーらーに、飛行場へ!

続いての5枚は羽田空港への旅客機着陸シーンをズーミングで構図や捉える機体の大きさを変えながら連続的に撮影したもの。デカくて重たいレンズではあるけれど、やろうと思えばズーミングでいろんなシーンにも対応できるので経験のない人でも、このレンズを手にすればヒコーキを撮ってみたくなる欲求にかられることは確実でしょう。

600㎜でもやや遠いけれど滑走路へのアプローチで機体がカメラに対してほぼ正面を向いた瞬間をくっきり捉えることができる。
■600㎜

600㎜のまま十分引きつけてランディングギアなど細部の様子もわかる迫力のアップ。個人的にはこのバランスが好み。
■600㎜

2枚目の撮影直後に400ミリまでズームを戻して撮影。撮影角度が違うのと圧縮感も緩み画像を見比べると機体が少し長めのフォルムになっているのがわかる。
■400㎜

頭上通過の機体全体をズームW端60㎜で。
■60㎜

振り向いて後ろ姿を。まだ機体の位置が高いので海面と空を入れ込むバランスを見ながら縦位置に構え直してズームアップ。
■222㎜

最後は再び横位置に構え直してT端まで一気にズームアップ! 着陸寸前を600㎜での撮影。
■600㎜

ただでさえ重たいレンズを空に向け、さらに超望遠域の画角で追従するのは確かに大変ではあるけれど、だからこそ楽しいし撮れた時の充実感も大きいですよね。ここからはやはり着陸間際のシーン。強い西日を受けた海面の照り返しが機体に反射する様を、少し絞り被写界深度を深くして望遠側で切り取ったもの。このピッカピカの金属的な輝きにはもう大満足。

■556㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F11 1600秒) ISOオート(250)

ソニーEマウントユーザーが知っておくべきこと

ようやく見つけた600㎜に相応しい被写体は、見た目可愛いくせにやることがえげつない野鳥の代表格。普段なら「あ、百舌鳥いるね」で撮らずに終わる距離からの撮影も、拡大すると凛々しい瞳と鋭い嘴もしっかり写っています。
■600㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F6.3 1/4000秒) ISO800

レンズが重いという不満は腕力を鍛えるなりしてカバーするとか三脚などの利用である程度カバーはできること。しかし個人レベルではどうしようも解決できない問題が2つ。

それは、ソニーEマウント仕様はテレコンバーターとUSBドックのどちらにも非対応であること。Lマウント仕様では使用可なだけに疎外感を感じるというかとても残念。

まぁ画角に関しては高画素モデルのボディでクロップ機能を使うか、撮影後のトリミングでカバーできないこともない。それに900㎜相当の画角で動体を的確に補足・追従するには相当なスキルがも必要だからトリミングは絶対にイヤという人でない限り600mmで撮影するほうが確実に歩留まり良くなるのは確実ではある。

USBドックに関してはミラーレス専用レンズで可能なカスタマイズは現時点でMFリング操作感の調整だけ少ないけれど、詳細未定ではあるものの今後機能追加予定であることはアナウンスされている。

もしも将来的に一眼レフレンズ用のUSBドックUD-01同様にSIGMA Optimization ProでAF速度調整やフォーカスリミッターの調整も可能になるのだとすれば、そしてその時点でもEマウントは非対応のままだとしたら残念どころではなくなりますね。シグマさんそこんとなんとかお願いできないものでしょうか!

ソニーEマウントユーザーはその2点そこを承知した上で財布を開きましょう。けっして「買った後に知った!」なんてことのないように。

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ようやく見つけた600㎜に相応しい被写体は、見た目可愛いくせにやることがえげつない野鳥の代表格。普段なら「あ、百舌鳥いるね」で撮らずに終わる距離からの撮影も、拡大すると凛々しい瞳と鋭い嘴もしっかり写っています。
■600㎜ ソニーα7 MarkⅣ 絞り優先AE(F6.3 1/4000秒) ISO800