RF600㎜F4L IS USM=リユース品…いえ、環境にやさしい超望遠。
●焦点距離:600mm
●最短撮影距離:4.2m
●最大撮影倍率:0.15倍
●レンズ構成:13群17枚
●最小絞り:F32
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:差し込み52mm
●大きさ・重さ:φ168×472mm・約3090g
●付属品:ケース/フード
先ずは昨夏発売済みだけど、ほとんどの人はそんなこと気にしないRF600㎜F4L IS USM(181万円)から。それでも展示会デビューは今年のCP+が初めてのはずだったので、仲間外れにするのは可哀そうでしょう。
このロクヨンは、一眼レフEOS用EFマウントで2018年9月に3世代目へとモデルチェンジしたEF600㎜F4L IS Ⅲ USMをベースに…と言うまでもなく、良くも悪くもマウント部分「だけ」をRF用に改造(あくまで外観のハナシ)したのがバレバレというか一目瞭然。
とは言えこの3世代目のデビューは、高画素機を見据えた光学設計と驚くほどの軽量化を達成したとことでセンセーショナルなものだったし、当時EOS-1Dx系との組み合わせでの取り回しと画質の良さに感心したことを鮮明に覚えています。
逆に言えば、だからこそ新しさやインパクトは感じないのですが…。でもまあ、初手からRFマウントが用意されたことで、マウントアダプターをガチャガチャする煩わしさから解放されることは嬉しいことかと。
この辺はエクステンダーを普段使いしているユーザーなら同感のはず。レンズの重心がマウント側に近い位置へ移動した今時の光学設計なので、従来の同クラスレンズのようにフロントヘビーになり過ぎず、手持ち撮影も十分にいける取り回しの良さがありますから。
比べてみれば、EOS Rシリーズに使用する超望遠レンズは、やはり専用マウント仕様が使いやすいと実感できるレンズです。
RF800mmF5.6 L IS USM=これなら登山のオトモしても担いで行ける??
●焦点距離:800mm
●最短撮影距離:2.6m
●最大撮影倍率:0.34倍
●レンズ構成:18群26枚
●最小絞り:F64
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:差し込み52mm
●大きさ・重さ:φ163×432mm・約3140g
●付属品:ケース/フード
お次は正真正銘今春の新モデルRF800mmF5.6 L IS USM(226万6000円)。通称ハチゴローでお馴染みですね。「ヨンニッパに2倍のテレコンじゃダメなんですか?」なんて聞くのは野暮です。「男のロマン」をもう一度勉強し直してください。
ちなみにEFマウントのハチゴロー=EF800mmF5.6L ISは2008年の発売開始以来、マイナーチェンジもなく長きにわたりラインナップされていましたが、先ごろ生産を終了。
ざっくりとしたスペックは全長461mmの鏡筒に14群18枚のレンズ構成、IS効果絞り4段分、質量約4.5kgでほぼ175万円というシロモノでした。
これに対してブランニューなRFマウントのハチゴローは全長432mmとやや短い鏡筒に18群26枚のレンズを詰め込んでも3.14kgと期待通りのダウンサイジングと超が付く減量を実現。この重さなら、やる気さえあれば担いで山にも登れるレベルかと。
野鳥や野生動物の生態に迫ったり、各種スポーツはもちろん航空機の撮影など、単に遠くの被写体を大きく写すだけでなく、遠近感を極端に圧縮した超望遠ならではの作画で表現域を広げることができそうな予感。
もちろんネイティブ800mmということで、エクステンダ―×1.4や×2.0も堂々と使用して1120mmF8や1600mmF11として更なる長焦点域の世界への到達も可能なのです。そう、男のロマンです。
そのほか機能的には、様々な機能をアサイン可能なファンクションボタンを鏡筒にぐるりと配置。あらかじめピント位置を記憶させて瞬時にセットできるフォーカスプリセットは2点に対応。
また、電子ピントリングや3段階からセレクトできるマニュアルフォーカスピードスイッチ、2段階のパワーフォーカスモードなど動画撮影も考慮したMF操作性の充実など多様なユーザーニーズ応えられる仕様となっております。
しかし800ミリともなれば水平画角はたったの2°35’。手持ちで動く被写体を捕捉し続けるのは結構大変なもの。いくら軽いEOS R3と組み合わせでも4kgを少し超えるので、実際の撮影現場でこれを振り回すにはそれ相応の体力と腕力が必要であることをお忘れなく。
キヤノンのIS機構は三脚や一脚の使用時でも誤作動しないので使うにこしたことはないけれど、この重量とバランスなら脚立の上で手持ちもギリいけそう。ただし挑戦するならもちろん日々の鍛錬で腕力だけでなく体幹も鍛えた上での自己責任でお願いします。
リーズナブルな下位クラスの超望遠ズームレンズが画質も向上させながら500ミリや600ミリといった長焦点域を普通にカバーするようになった現在では、この後に真打が控えているとはいえ、単焦点800㎜という存在が実用面から見てもRF超望遠の花形スター的存在と言ってよいのかも。
RF1200㎜F8L IS USM=なぁ~んとマイナス13kg超えの軽量化を達成!
●焦点距離:1200mm
●最短撮影距離:4.3m
●最大撮影倍率:0.29倍
●レンズ構成:18群26枚
●最小絞り:F64
●絞り羽枚数:9枚
●フィルターサイズ:差し込み52mm
●大きさ・重さ:φ168×537mm・約3340g
●付属品:ケース/フード
そして真打というかもうラスボスでしょう、RF1200㎜F8L IS USM!(266万2000円) 一眼レフEOS用EFマウント仕様にも単焦点1200ミリはありますが、受注生産で価格は約1千万円、そして質量16.5kgという超ウルトラヘビーな存在です。
1993年(平成5年)の発売当時こそバブル経済は弾けていましたが、開発時期は真っ只中だったのでしょうね。
でも、新しいRFマウントの200ミリは300万円でも余裕でお釣りがくるんです。もちろん前述のRF800mmF5.6 L IS USM同様に最新機能を盛り込み、ISは絞り4段分の補正効果を実現。そして注目の質量はなんと驚きの3340グラム! つまりRF800mmF5.6 L IS USMとはその差たったの200グラム。当然のことながら持ち上げた瞬間「軽い!これなら振りまわせる!」とマジで感じましたー。
が、ひとつ気をつけなければならないのはレンズ単体でも537mmの全長があり、専用レンズフード装着時にはさらに20cmほど長くなること。これを振り回すには相応のスペースが必要です。まあ、昨今の「ソーシャルディスタンス」を鑑みればおおきな問題ではないのかも知れませんが。
たしかに、これだけの焦点距離があれば、例えば野鳥人気の撮影撮影定番スポットにカメラマンが集中して密になっていようともその数メートル後ろからでも余裕で狙えるでしょう。
ただし、こちらも他の超望遠同様に極めて狭い画角ということで、被写体を捉えて効率よく撮影するには三脚にジンバル運台や高精度で動きコントロールできるフルードビデオヘッドなどのサポートグッズが必須です。
×1.4、×2.0のエクステンダ―を使うならなおさらドットサイト照準器や、背面モニターでのライブビュー撮影が一番シックリくる撮影スタイルになるはず。現状キヤノンのアクセサリーにドットサイトは存在しないので、ここはEOS Rシリーズ用品の拡充を期待したいところですね。
以上、RF長望遠3兄弟をサラリと紹介しました。ま、依然として高嶺の花には違いないです。が、こういうレンズがあったら何をどう撮ろうかと考えを巡らすことも写真の楽しみでもあるのです。
今回はガラス越しで簡単に各レンズの感触を確かめる程度の内容だったのですが、実際の撮影フィールドで試写できる日が待ち遠しいですね。もちろん、借り出せないことはないのですが、なかなか編集部がその間に立ってくれないんですよね。(※編集部註=それはね、盗難保険とか事故とか保管とか…とにかく気を遣うからなんです)