CP+2022にリンクしてシグマから発表された「Xマウント、はじめます。」のニュース。
個人的にはここ数年で屈指の吉報だったね。で、その先駆けとして3本のXマウント用単焦点レンズが同時に発売される運びとなった。しかもXマウント版はマウント部にゴムシーリングが追加されて、防滴への配慮もアップ!
今後もXマウント版が拡充されてゆくって話だから、カリオストロの城に出てくる次元のセリフよろしく「面白くなってきやがった」ってヤツよ。
しかも上記の3本については、他のマウントからXマウント用へのマウント交換サービスも4月8日(金)から始まるってよ!

SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary 主な仕様

●焦点距離:16mm(35ミリ版換算24㎜相当)
●最短撮影距離:0.25m
●最大撮影倍率:1:9.9
●レンズ構成:13群16枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:9枚(円形絞り)
●フィルターサイズ:φ67mm
●大きさ・重さ:φ72.2×92.6mm・405g
●付属品:花形フード/キャップ

※ここでの撮影は、すべて製品化前の試作機で行われています。

Xマウントって、作るの難しいの??

レンズメーカーのXマウント対応というと、タムロンが昨年末に18-300mmをブッ込んできたけど、あのタムロンでさえ動作が純正レンズ並とは言えないところもあったりしたので、やっぱりXマウントの通信は難しいのだろうな、とも思っていました。だからシグマの仕上がりについても興味津津でございますぜ。

で、記念すべきレビュー1回目は2017年に登場のシグマの16mmF1.4 DC DN | Contemporary。コイツのXマウント版です。
このレンズ、登場時はEマウントとm4/3版しか無かったので「Xマウント版があればなぁ」と強く願った記憶があります。で、年を経るごとにEF-M版、Lマウント版と拡充されていき、ついに富士フイルムXマウント対応。

4年前だかにEマウント版に触れたハズですが、40を越えた事もあって記憶はあやふや。実質初対面ということで、本レンズを楽しんでみたいと思います。
ちなみに今回のレンズはファームがまだベータ版。一般的に製品に入っているファームってのはver.1.0以上ですが、ベータ版というのはver.1.0未満(ver.0.9とか0.78とかそういうやつ)の試作ファームの個体になりますので、AF/AE/AWBなどの動作が製品版とは異なる場合があります。

あ、我が日記帳のようなnoteにベータ版以前のファームでのチラリ試用報告をアップしていますので興味があればそちらも。

組み合わせたボディはX-H1とX-Pro2。レンズサイズは純正のXF16mmF1.4Rよりも少しだけ大きい感じ。質感は皆様ご存じの通り。
Q:上質な作りが魅力のメーカーと言えば?
A:シグマである
です。義務教育で履修する内容なのでもちろんご存知かと思いますが試験に頻出ですので覚えておいてくださいね。

レンズ単体だとちょっと大きくて重い感じはするけれど、ボディにつけるとバランスが良いのか重量感はそれほどでもありません。X-H1とX-Pro2で試してみたけど、ボディを選ばないバランスの良い感じがあります。

時々AFが迷うのはベータ版だからかなぁ

周辺部やアウトフォーカス部に色づきが出るかな?と思ってパチリしましたが、ほぼ無いね。たいへん素晴らしいです。
※撮影共通データ:■富士フイルム X-Pro2
■絞り優先AE(F3.6 1/50秒) WB:オート ISO200
 

X-H1に組み合わせた感じだと、IBIS(ボディ内手ブレ補正)も問題なく動作するし、静止状態でIBISが不正動作して画面がフラフラ動くドリフト現象だったり構図を微調整した時に上手く画面が追従してくれなかったり、ということは感じませんでした。

AFはとてもスムースで静粛。AFの駆動速度自体は遅くないのだけど、迷う系の挙動が出るのでAF時間が掛かる時があったり、なかったり。加えて時々ピント精度が怪しかったり。

AEも少し気難しいところがあって、時々絞りが開いたり閉じたりっていうViltrox系のレンズ(いち早くXマウントの交換レンズを発表)でよく出る症状が顔を覗かせますが、影響は控えめでWBに影響を与えるほどではなかったです。
全体的にはベータ版って感じの挙動がチラホラありましたが、別にイライラするほどでもナシ。ファームの開発は順調そうに思いました。 ※追記 4月11日 製品版では解決していました!

まずはフジ純正と比較

左がシグマ16mmで下は拡大画像。右はフジ純正XF16mm。

筆者私物のフジ純正=XF16mmF1.4Rと比べてみたところ、開放絞りではシグマの方がシャープというか収差は少なめ。さすがに新しいだけあるって感じで、周辺部まで均質だったのもシグマ。f/2.8より絞り込むとほぼ同等でした。

逆光は作例ナシになりますが、ほぼドッコイ。強いて言えばシグマのがクリアと言えばクリアだけど誤差レベルです。

比較っぽい撮り方をしない場合は、シグマレンズは良い意味で「淡々とありのままを捉える」って感じの写りに思いました。
Eマウント版だともう少し硬い感じで平面的だったような…。でもこれはフジとソニーの絵作りの違いかも知れないね。

個人的な意見だけど、XF16mmの方が情感があるような気がします。これは収差の出方の違いだろうね。
最近の高性能レンズの一部には見た目より明らかに良く写るCGみたいなレンズがあって、フジだと昨年登場したXF18mmF1.4R WR辺りがそういう系統に属していると思っています。

いうなれば愛すべき「写りすぎない系」かと

絞り開放でもこの通りキレッキレ。周辺光量落ちは恐らく勝手に補正されているのだろうけれど、無視出来るくらいの落ち具合。コレはコレで寂しい気持ちもあります。
■絞り優先AE(F1.4 1/32000秒) WB:オート ISO200

が、コイツらのように「すげー写る」っていう系統の描写「じゃない」ので、シーンを選ばない中庸さが豊田的に高得点。これはナルホドContemporaryです。中庸って表現は使ってはいるけれど、描写性能はスコブル高いですぜ。

私はXF16mmF1.4Rを愛しています。性能が高いのはもちろん収差がソコソコあったりもするワガママな性格や、フォーカスクラッチの存在理由が微妙なところなど、諸々含めて愛しています。

特に描写は気に入っていて、例えば仕事撮影だと色収差は無い方が嬉しいですが、趣味の撮影だとあった方が写真っぽいし、モノクロにした時に輪郭の滲みが良い感じになったり。収差が少しあった方が遠景撮影時にリンギングが出にくいとかの使い勝手の問題もあってXF16mmF1.4Rを気に入っていますが…とはいえ、このコンポラ16mmも良いねぇ。

不満といえば絞りリングがないこと、寄れないこと…

歪曲補正は自動で掛かるっぽい感じ。個人的な好みで言えば微妙に過剰というか真っ直ぐ写りすぎなので少しだけ樽型を残してくれているのがありがたいです。
■絞り優先AE(F3.2 1/900秒) WB:オート ISO200

使ってみて気になったのは絞りリングの有無。やっぱコレは気になったね。特にX-Pro2と組み合わせると、どうしても左手が絞りリングを探してしまいがち。
ですが、普段から電子ダイヤルで絞り操作しますよ、という人なら全く気にならない話だと思います。操作性が洗練というか一般的になってPMSAモードダイヤルを持つX-S10とかなら良い相棒になりそうです。

あと、XF16mmF1.4Rと比べると全然寄れないですね。純正は最短15cm、シグマは最短25cm。倍率は倍ほど違う純正の約0.21倍に対してシグマは約0.1倍。数値から想像する差と現場で体感する差は全然違うので、純正のフットワークを知っている人だと冗談抜きで文句言いそうな差です。もちろん初めてこのクラスを買うというのであれば問題ないと思うけれどね。

試用中は梅やら早咲きの桜やらをワイドマクロ的な撮り方してみようかな?と思っていましたが、感覚より全然寄れなかったので撮り方を変えました。こういうところは純正の方がが幅広い使い方が出来そうに思います。

定価は税込みで6万2700円。実売だとゆくゆくは5万円前後で手に入るようになると思います。この性能がこのプライスってのは衝撃以外のナニモノでもないし、レンズの作りも申し分無い。ワガママを言えば「絞りリングがあれば…」と思いますが、それはIシリーズXマウント版を待てば良い話かもね。

ほぼ至近端。接写性が高い訳ではないのでまぁこんなモンです。でも撮影距離や絞り値に依らず安定した描写なので、何も気にすること無く撮れるね。
■絞り優先AE(F2.0 1/1800秒) WB:オート ISO320