35-150mm F/2-2.8 Di Ⅲ VXD(Model A058) 主な仕様
●焦点距離：35-150mm
●最短撮影距離：0.33（WIDE）/0.85（TELE）
●最大撮影倍率：1:5.7（WIDE）/1:5.9（TELE）
●レンズ構成:15群21枚
●最小絞り：F16-22
●絞り羽枚数:9枚(開放から2段までほぼ円形絞り）
●フィルターサイズ:φ82mm
●大きさ・重さ：φ89.2×158mm・1165g
●付属品:花形フード/キャップ
画質重視の大口径標準ズーム
左側がフォーカスセットボタンの切替えのスライドスイッチ。もう一つのフォーカスセットボタンはこの画像では見えないカメラを正位置に構えた状態で下に側にある。マウント部近くはパソコン接続用の防水タイプUSBコネクタポート（Type-C）。
画質を重視した設計ということで、ズーム倍率は約4.3倍と控えめ。さらに絞り開放F2.0というのが大きなアピールポイントだ。ただしF2.0の明るさを享受できるのはＷ端35ミリ時のみ。
ズームリングに指標のある焦点距離で言うと50mmでF2.2、70㎜ではF2.5とズームアップに伴い変化して、85mmより望遠側の焦点距離では絞り開放F2.8となる。もちろん150mmでF2.8でも十分に明るいので、背景には綺麗なボケ味活かした作画が楽しめる。
3つの「フォーカスセットボタン」が実に便利！
テレ端（左）とワイド端で撮影。コノハズクまでの距離はほぼ1mの位置で35mmと150mmでの画角変化。ともに絞り開放の撮影だが、ピント位置の瞳はきわめてシャープ。そして少しずれると柔らかにフォーカスアウトする。35mmでも背景にいる鳥がわからないくらいに大きなボケを得られた。
■ソニーα7R Ⅳ 絞り優先AE（F2-2.8） プラス1.0露出補正 WB:オート ISO100
鏡筒は少々大柄で、15群21枚のレンズがギュッと詰まった重量は単体で1165g。今回装着したα7R Ⅳとの組み合わせでは1.8kg超えと、さすがにズシリと重さを感じる。しかし82mm径の大きな前玉、ガタツキなどない高剛性の金属鏡筒は高級感もあり好印象。
これだけ大きなレンズを前後移動させるので仕方がないことだが、ズームリングの操作感は60mmくらいから望遠側がやや重い。
操作性での特長は、αユーザーには当たり前の各種機能を割り当て可能なフォーカスホールドボタン（タムロンの名称はフォーカスセットボタン）が搭載されたこと。
それも縦位置撮影の多いユーザーの利便性を考慮して､グリップが上下どちらの位置の撮影でも対応できるように90度ずらした3か所に設置されている。
35mm側でも最短撮影は0・33メートルまで寄れるのと、広い画角と浅いピントでマクロレンズ的な画が得られる。150mm側の最短距離0.85mまで寄ると手持ちでは微妙な身体の揺れでピントがずれるので、素直に三脚等に頼った方が良い結果を得やすいはず。
■ソニーα7R Ⅳ 絞り優先AE（F2） WB:オート ISO100
背景に絡む羊のボケ具合や空間が窮屈にならない圧縮効果をEVFで確認しながら、焦点距離と撮影位置を決めて撮影。羊毛の質感再現やピントを合わせた瞳やまつげ一本一本までしっかり解像している点など、シャープな描写力での満足度は高い。
■ソニーα7R Ⅳ 絞り優先AE（F2.8） WB:オート ISO100
専用アプリを使えば、さらなる発展が期待できる
極力レンズ交換は考えたくなくない浜辺で、刻々と表情の変化する夕陽絡み。遠景のぼかし具合や画角の違いなど、自分も動きつつ印象の異なるバリエーションを撮影するのに1本で済むのは実に便利。
■ソニーα7R Ⅳ 絞り優先AE（F2.8） WB:オート ISO100
さらにスライド式の切替えスイッチを併設し、役割の異なる機能を簡単に使い分けるできることは本家のレンズに無い芸当で魅力だ。
また、その機能割り当てをUSBケーブル（別売）でパソコンと直結、専用アプリ「TAMRON Lens Utility」から行うことで、カメラ単体で行うよりも多くの機能選択とレンズ自体のカスタマイズが可能なこともポイントが高い。
「ポートレート用」と割り切ってしまうのはモッタイナイ！
遠景の描写力も高く、どの焦点距離でも絞り開放から安心して使える。が、空などが絡む撮影では1～2段絞るほうが周辺光量不足も改善するし画面全体の解像感も向上する。作例はF8.0まで絞ったもの。緻密な描写を求めたい高画素機での風景撮影などでも重宝するだろう。150ミリ・α７RⅣ・絞りF8・AE・ISO１００・AWB・JPGエクストラファイン
■ソニーα7R Ⅳ 絞り優先AE（F8） WB:オート ISO100
大三元ズーム3本を持ち歩くのは体力的にもうキツイ。でも絞り開放F4クラスに替えるのはちょっと…」というユーザーにはショートズームとのコンビは良いだろう（単焦点14mmや24mmという選択もあるが）。
また、高画素機α7R ⅣボディならAPS-Cクロップで望遠端225mm相当として利用できる。記録画素数は26メガとなることを許容できるなら、嵩張って重い70-200mmF2.8ズームは影の薄い存在になりそうだ。レンズ2本での機材構成を考えたい時には主軸として都合が良いズームと思う。
メーカーが推す通り人物ポートレート用レンズとしては最適だが、もちろんそれ以外の被写体用途でも活躍してくれそうだ。