○場所:富士フイルム イメージングプラザ 東京/大阪
○東京展:10月27日(水)~11月15日(月)
○大阪展:12月1日(水)~12月27日(月)
 ※10時~18時(最終日は14時まで)

きっかけは1枚の失敗写真だった。

日本語ではシャシンを「真(まこと)を写す」と記述する通り、写真とは真実を捉えたものだ。対象が確かにそこに存在したという証明である。ゆえに「写真の本質は記録である」と説明される場合が多い。

この原則に従えば、きっかけとなった失敗写真もまた事実だ。どんな世界が写し撮られていようとも間違いなく存在したのだ。自分がそう知覚出来なかったとしても、撮像面上では世界がそのように投影されていたのだから。

そう考えてみると撮影とは「自分が観測した世界を写し撮る行為」ではなく「カメラに世界をそのように見せる行為」なのかも知れない。
商品撮影やポートレート撮影の現場では、ライティングなどによって被写体がより美しく見えるように拵え、最も魅力的に輝く瞬間を捉えようとする。この様子を反芻してみると「撮影とはカメラに世界をそのように見せる行為」という解釈がやはり正しいように思えた。

カメラが捉えた世界の結果がいわゆる失敗写真だったとしてもそういった世界が確かにそこに存在したのかもしれないと想像をふくらませるのは楽しいものだ。

ここを観てねん。展示の特徴や見所なんぞ。

このシリーズを撮りはじめるキッカケは失敗写真でした。
いつもならそのまま削除するような写真だったけど、でも何か引っかかるモノがあって。そこからカメラのデバイスの勉強と試行錯誤をしてみて「これイケんじゃね?」と。そんなはじまりです。

特徴は建物が曲がったり波打ったり飛んでいたり。ファンタジーやCGみたいな事ですが、事実としてカメラが捉えた現実世界です。
撮像面上ではそんな世界がたしかに存在していました。というのが、いわゆるレタッチをしていません。トーンの微調整とか、ホコリ取りくらい。Rawでもこうなっているし、X Raw StudioというソフトでGFX50Rのボディを使って現像しています。

今回、このシリーズを制作するにあたって「撮影とはなんぞや?」という事をよく考えました。指示して操作するのは人間様だけど、実際撮って頂いているのは大カメラ様なのよね、結局。ってことで、「そうした技術や機構を活かし、カメラに世界をそのように見せること」が撮影なのだというのが私なりの結論。

すべてGFX50RとGF50mmF3.5R LM WRの組み合わせで撮影しています。
プリントは写真弘社にお願いし、ラムダプリントというデジタルデータを銀塩のバライタ印画紙にレザー露光し、現像する手法を選択しました。大変に素晴らしいクオリティのプリントなので、そちらも楽しんで頂けると幸いです。
興味持ったら「写真弘社」調べてみてね。