ゲッカメの表紙撮影でもお馴染みの写真家・藤里一郎による、女優・鎌滝恵利との写真展『25 Hello Good bye」が北青山のNineGallery(ナインギャラリー)にて昨日3月2日より開催中(文中.敬称略)。

無修正、ありのままの25歳。女優・鎌滝恵利の覚悟

2016年以来、ひとりの女優の成長を21歳から毎年撮り下ろし、発表してきた写真展も5回目。
モデルの鎌滝が来月で26になる直前に開かれた今回は、このシリーズの一つの“最終回”だ。

当初は21歳から30歳までの鎌滝を、10年間に亘って藤里が毎年撮り続け、気鋭のアートディレクター・三村 漢による展示と写真集という形でまとめ上げるという、3人コラボのコンセプトであった。

しかし、昨年から鎌滝の女優活動が本格化する中で、鎌滝の「(作品制作も女優業も)中途半端になるのは避けたい」との思いから、3人の阿吽の呼吸で、このプロジェクトは一旦“休止”の形になることとなった。

筆者を含め、当初から毎年多くのファンの期待を集めていたプロジェクトだけに、残念な気持ちは募るが、サブタイトルの「Hello Good bye」に込められた意味をどう受け取るか。
筆者の希望的観測は、「30になったときに、もう一度、結集する」だ。

そう感じた理由は、ギャラリーに現れた鎌滝の言にある。曰く、
「今回、撮影にあたって全く無修正というか、肌のしみやそばかすも何も修正しないでくださいとお願いしました。25の、今のありのままの私を見て欲しいな、と思ったんです」と。
5年間の一つの区切り、そして、5年後の自分に向けての覚悟...そんな意志を感じた。

匂い立つ藤里ワールドとディレクター・三村の最強タッグ

作品群は、藤里流のいわゆる“寄り”のカットとは趣が異なる。
それもそのはず、撮影はハウススタジオで3時間のみ。カメラは中判デジタルのGFX 50にフジノンGF110mm一本勝負。35mm判換算で87mm相当の中望遠で、いつもの35mm画角とは異なる。モデルとの距離感が違い、中判フォーマットならではのボケ味と、階調の豊かさが味わえる。

ただし、“匂い立つ”藤里ワールドのテイストは健在。
前作「24」のときの、むせかえるような濃密な空気感とはまた違った、優しく見守るような距離感を見せる。
そして、フィルムシミュレーション「ACROS」が放つ、黒のエッジをしっかり出しつつ、なだらかな階調を見せるモノクロ作品群は、枚数も絞られ、ギャラリーの白い壁にシンプルに飾られる。
とりまとめた三村による展示の妙も冴え、藤里との強固な信頼関係が伺われる。

ネタバレになるのでここでは紹介は控えるが、会場ではサプライズ的な展示も。

なお、会場では「25」の写真集(4000円・税別 送料170円)も受注しており、過去の21から24までの写真集も閲覧ができる。
入場料は500円かかるが、シリーズのファンならずとも見てソンはない作品展。
会期は3月7日(日)までなので、お早めに。
「Hello Good bye」---このサブタイトルは、次に3人のコラボに逢えるまでの"遠い約束"なのだ。

藤里一郎+鎌滝恵利 写真展
「25 Hello Good bye」

2021年3月2日(火)〜7日(日)
NineGallery
東京都港区北青山2-10-22
10時〜20時(最終日は17時まで)
入場料500円

https://ninegallery.com/exhibition/1065