■文・写真/杉山 慧
弊社刊ムック「鉄道写真の奥義」好評発売中!
予讃線(下宇和~立間)愛媛県
年間約21 万トンの柑橘類生産量を誇る愛媛県。温暖な宇和海の日差しをいっぱいに浴びて、柑橘類の畑を縫う予讃線を俯瞰できる。予讃線は伊予市~宇和島間が非電化区間で、1 時間に1 本の2000系の特急「宇和海」がこの区間の主な被写体であるが、普通列車はすべて国鉄時代に製造された車両(キハ54 形、キハ32 形、キハ185 系)で運転されていることにも注目したい。
作例は特急「宇和海」だ。所定2 両で運転されるが、大型連休とあってこの日は4 両編成であった。列車の編成は時刻表や鉄道雑誌を見て、事前に確認しよう。
撮影場所は法華津峠の展望台付近だ。アクセスは西予宇和インターから県道45 号に入り750m 進むと「←法華津峠展望台」と書かれた道路標識に従い左折。道なりに3.8km 進むと展望台の駐車場にたどり着く。展望台の先に石碑があるので、そのあたりから撮影できる。
呉線(三原〜須波)広島県
須波駅を出発した直後の三原方面行きを狙う。海の向こうに小佐木島や佐木島が浮かぶ。走る車両は、従前の国鉄型車両に代わって、2019 年春から新型車両227系に統一されている。
作例は2 連のS 編成だが、3 連のA 編成が使用される列車もある。撮影地は筆影山へ上る道路上だ。国道185 号の須波港口交差点を曲がり、呉線をくぐる。あとは道なりに山道を上っていくだけだ。木が伸びつつあるので、脚立をもっていくと良い。車は路上の広いところへ止めよう。
木次線(出雲坂根〜三井野原)島根県
木次線は陰陽を結ぶ路線のひとつだが、スイッチバックとオメガカーブで県境を越えるローカル線である。キハ120 形による普通列車のほか、臨時列車「奥出雲おろち号」が運転されている。
作例は1 日わずか3 往復のみの普通列車のうちの1 本をとらえた。列車は出雲坂根駅と画面左に見えるシェッドの奥の計2 回、スイッチバックを行いジグザグに峠道を上っていく。
出雲坂根駅の前で国道から分岐する道路に入る。この道路を600mほど進むと道幅の広い右カーブに差し掛かる。車はこのあたりに駐車する。カーブの内側にある獣道に入り、ロープを伝って斜面を登れば撮影地だ。
日豊本線(竜ヶ水~鹿児島)鹿児島県
寺山公園の展望台から錦江湾に沿って国道10 号と併走する日豊本線を狙う。北九州と鹿児島を東九州経由で結ぶ日豊本線は、最後の2 区間である重富~竜ヶ水~鹿児島で錦江湾に沿って走る。特急「きりしま」は783 系、787 系で、普通列車は817 系、415 系、キハ40 系で運転される。
作例は415 系による6922Mで白いボディがよく映える。遮るものがなく日の出直後から日が当たるので、季節を変えて通いたいポイントと言える。
寺山公園は竜ヶ水駅から見て北北東にある公園。公園といっても、トイレと展望台がある簡素な公園だ。駐車場は整備されている。竜ヶ水駅や国道10 号からアクセスすることは不可能で、薩摩吉田インターから県道16 号、県道220 号を経由する。道中は「寺山」や「寺山公園」といった道路標識に従えば良い。木が伸びつつあるので、できるだけ高い脚立が必要である。
撮影・解説:杉山慧
1992年11月、静岡県出身。幼少期より鉄道に興味を持ち、日本大学芸術学部写真学科卒業後、ネコ・パブリッシングに入社し月刊誌[レイル・マガジン]の編集に携わる。2017年3月、鉄道写真事務所レイルマンフォトオフィスに入社。2018年12月レイルマンフォトオフィスを退社し、フリーの鉄道写真家として独立。独立後は月刊誌[鉄道ジャーナル]での写真撮影や原稿執筆のほか、レンズメーカー「タムロン」主催するに「タムロン鉄道風景Instagramコンテスト 2019」で審査員を務めた。