タイの新興工業団地と隣接するニュータウンに住む人々の姿から現代タイの一端を垣間見る、木村孝写真展「ライフ・コレクション・イン・ニュータウン」が、東京・銀座ニコンサロンにて3月10日(火)まで開催中です。

アマタナコーンに住む人々と、彼らの部屋から浮かび上がるもの

タイ王国に1989年に開設された新興工業団地とそれに隣接するニュータウン。かつては何もなく荒地だったこの場所は、現在では600社以上の企業の工場やオフィスが立ち並び、仕事やビジネスチャンスを求めて国内外から人々が集まり続け都市へと変貌しています。

人々はこの街をアマタナコーンと呼ぶそうです。しかし、アマタナコーンは行政区画上、存在しない街。

はじめて写真展に足ばれる方へ向けて、本展を鑑賞するポイントを伺ってみると「写真に写っている情報、例えば部屋にベッドが置かれている方だと定住するつもりかな、とかマットだけだと、どうなんだろうと思ったり。ほとんど家具を置かず、いつでもこの町から出いける雰囲気の方もいるので。そういう視点で鑑賞されても面白いと思います。そしてやっぱり“色”の面白さもあると思います」と木村さん。

「私はとても現代的に成立したこの街に興味を持ちました。最初は街の風景を撮影していましたが、この街に住む人々も撮りたいと思うようになりました。普段は人に見せることのない、彼らの素の姿を撮ることで、もっとこの街を知れるのではないかと考え、彼らのプライベートルームで撮影することを始めました」と木村さん。

本展では、この街に住む人々を、彼らのとても私的な空間で撮影した41点が展示されています。
そこには、現代タイの一端が垣間見れるようで、現在進行形で大都市へと変化していく街と人とのなんだか不思議な距離感や、共通した「らしさ」が浮かび上がる写真展です。

展示作品『マイ コールセンターのオペレーター』より。
会場で閲覧できる本展のパンフレットには「強い日差しを気づかってGジャンを差し出してくれた」と木村さんからの一言の書かれています。

写真家の木村孝さん。木村さんは今後もアマタナコーンを訪れ、変貌していく都市の風景と、この街に生きる人々の撮影を続けていきたいそうです。

左)木村さんがタイ王国に1989年に開設された新興工業団地とそれに隣接するニュータウンの風景を撮影した写真集『Discipline, and nature 秩序と、自然または本能 』
右)本展のパンフレット。中面には被写体となった人々が住む地区を3つに分け、各人の名前と職業などの属性、彼らについての一言が書かれています。ぜひお手にとって展示作品と共にご覧ください。

展覧会情報

木村孝写真展「ライフ・コレクション・イン・ニュータウン」

【東京】
会期:2020年2月26日(水)~2020年3月10日(火)
会場:銀座ニコンサロン
住所:東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1階 ニコンプラザ銀座内
電話:03-5537-1469
開館時間:10:30~18:30(最終日15:00まで)
休館日:日曜日

【大阪】
会期:2020年3月19日(木)~2020年4月1日(水)
会場:大阪ニコンサロン
住所:大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエストオフィスタワー13階 ニコンプラザ大阪内
電話:06-6348-9698
開館時間:10:30~18:30(最終日15:00まで)
休館日:日曜日

木村考(キムラ コウ)さんプロフィール

1986年 愛媛県新居浜市生まれ。
日本写真芸術専門学校卒業。
写真家アシスタント、スターツ出版株式会社フォトグラファーとして勤務の後、現在はフリーランス。

2018年 ウッタラヤンアートセンター 滞在作品制作参加              
2018年 グループ展「インドにふれて」木星舎
2019年 KYOTOGRAPHY KG+「NEW JAPAN PHOTO EXHIBITION」出展 ホテルアンテルーム京都