写真家、文筆家である串田明緖さんによる写真展「道化師の恋人 L’amant du clown - tableaux de cirque -」が東京・馬喰町のアートギャラリーKKAGにて、本日より1月25日(土)まで開催中です。
串田さんが出会ったフランスのサーカス芸人たちのポートレートを中心に、ハッセルブラッドで撮影したモノクロ銀塩プリントを展示しています。
串田さんが撮影する彼らのポートレートは、サーカス芸人でありながらも、そうではなく、プライベートな時に見せる表情とも異なる、とても曖昧で無防備な存在である瞬間のもの。
被写体であるサーカス芸人が、おそらく彼ら自身も知らない自分の姿、串田さんだけが撮ることのできる、儚く美しい瞬間のポートレートなのだと思います。

展覧会内容より

"飛び上がって逆立ちしたり、戯けた顔をして子供が夢中になるようなことを仕事にしているのさ"
からだひとつで観客をよろこばせ、
ただひたすら自分の芸を磨くサーカス芸人たちに魅かれる。
彼らが道化師になるとき、モノクロームに溶けていく恋。
それは少し危なげで、少し切なくて、とてつもなく甘い。

展覧会風景より。本展では、串田さんと1人1人のサーカス芸人との間に築かれた、まるで甘い共犯関係のような、蜜でありながらも、とても静かな距離感の中で撮影されたポートレートが、モノクロの世界で表現されています。

展示作品より。サーカス芸人である彼らが、舞台から少し離れた時に串田さんだけに見せる表情や佇まい、仕草…。串田さんは、その一瞬一瞬を、レンズ越しに見つめシャッターを切ります。

写真家、文筆家である串田明緖さん。
串田さんは、2008年12月に、クリスマスとニューイヤーをフランス郊外の村にあるサーカス団長の家で家族ぐるみで過ごしたことが、サーカスとのはじめての出会いだったそうです。

会場にある古いガラスの飾り棚には、串田さんが撮影に使用したハッセルブラッドやベタ焼きも。
串田さんが大切にされているサーカスを題材にした本や、ルオーやシャガールのポストカードなども一緒に展示されていて、小さな空間の中にもサーカスの幻想的な魅力がたくさん詰まっています。

写真集「Circus Life vol.1」「Circus Life vol.2」(1,500円)や、額装されたキャビネサイズのプリント(6,000円+税)も販売されています。

展覧会情報

串田明緖写真展「道化師の恋人 L’amant du clown - tableaux de cirque -」

会場:KKAG(Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery)
住所:東京都千代田区東神田 1-2-11アガタ竹澤ビル405
TEL:03-3862-1780
会期:2020年1月8日(水)~1月25日(土)
開館時間:15:00〜21:00(水、木、金、土)
休廊日:日、月、火
都営新宿線「馬喰横山」駅A1出口より徒歩2分JR
横須賀線・総武快速線「馬喰町」駅 西口2番出口より徒歩2分
日比谷線「小伝馬町」駅 2・4番出口より徒歩6分
都営浅草線「東日本橋」駅より徒歩6分

ギャラリートーク

2020年1月10日(金)19時-20時 (参加費無料・予約不要)
ゲストに小沼純一さん(早稲田大学文学学術院教授、詩人、批評家)をお迎えして、串田明緖さん(写真家、文筆家)とのギャラリートークが開催されます。
詳細は情報はこちら
http://kkag.jp/

串田明緒(クシダ アキオ)さんプロフィール

写真家、文筆家
青森県八戸市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒業。写真は独学でさまざまな形から学ぶ。
撮影アシスタントをしていた在学中、「週刊朝日」の表紙モデルとなると同時に、篠山紀信氏が女子大生たちを撮る様を撮影し文章に綴った。
夫である俳優・演出家・舞台美術家の串田和美氏の創作現場から、俳優たちのポートレート、歌舞伎、サーカスなどの作品を紡ぐ。舞台のメインビジュアルを多数手がける。
著書に、写真と文章による写文集「拝啓 平成中村座様」(世界文化社・2009年)、「わたしの上海バンスキング」(愛育社・2013年)など。
2016年8月、英国オックスフォード大学内 Pitt Rivers Museum に作品永久収蔵。
2019年10月、青森県立美術館にて寒立馬(かんだちめ)を通して自身の“故郷”に立ち戻った「Talking with the Horses - naked winter - 」 展を開催。