キヤノンから、オリンピックイヤーのフラッグシップ機、EOS-1D X Mark IIIの詳細が発表された。ライブビュー撮影、ネットワーク機能、動画機能などを大幅に進化させた、Mark IIの正常進化モデルといえる。カメラマンの要望を細かく取り入れた操作部分の改善も大きい。2月中旬発売予定。オープン価格。

商品コンセプト

キヤノンによると、EOS-1D X Mark IIIの開発コンセプトは以下の通り。

『キヤノンが持つ技術を惜しまず投入し、個別機能・総合力とともに時代が求める最高性能を目指す。』

具体的には…。

◎高速性
・ファインダー撮影時:最高約16コマ/秒(AF/AE追従)
・ライブビュー撮影時:最高約20コマ/秒(AF/AE追従)
・新アルゴリズムAIサーボAF IV
・ファインダー撮影時:顔検知+頭部検出
・ライブビュー撮影時:瞳AF+顔検知+頭部検出
・CF Express ×2 同一メディアダブルスロット
・スマートコントローラー

◎高画質
・低ノイズ約20.1M CMOSセンサー+新タイプローパスフィルター
・デジタルレンズオプティマイザ:撮影時(標準)/現像時(標準/強め)
・高解像シャープネス処理
・高解像ノイズリダクション処理
・常用ISO102400(静止画)
・HDR PQ HEIF10bit記録
・明瞭度補正

◎信頼性
・シャッター耐久50万回
・全視野内表示の赤色表示
・軽量化
・撮影可能枚数増
・防塵・防滴構造
・Wi-Fiモジュール内蔵
・FTPS/SFTP
・認証LAN
・HTTPS

◎プロからの要望を全て改善
・AIサーボAF特性を自動的に設定する「自動サーボスタイル」
・精度・低輝度限界向上「イメージャーEOS AFセンサー」
・測距不安定時の追従精度向上
・追尾追従性向上(Deep Learningによる頭部検出/動きベクトルによる掴み直し)
・EOS Rの「遠ざかる被写体対応」を逆輸入

キヤノン EOS-1D X Mark III EF400mm F2.8L IS III USM 装着時

特徴

■画質に関する事項
・新画像エンジン「DIGIC X」:シングルでもEOS-1D X Mark IIのデュアルDIGIC 6+を大幅に凌ぐ処理性能発揮し高画質&高機能を実現
・新開発「フルサイズ2010万画素CMOSセンサー」:高感度時のノイズを抑制、読み出し回路を高速化し連写速度の向上と4Kフル画角の対応に寄与
・新開発「16点分離ローパスフィルター」:点像分離最適化による解像感向上、周囲8方向分離によるモアレ低減
・常用ISO感度最高102400
・HDR PQガンマによるHEIF静止画10bit記録が連続撮影速度への制限なく可能(jpeg併用は不可)
・画像の調整項目に「明瞭度補正」を追加
・最新の動画性能:4K60p 4:2:2 10bit Canon Log内部記録可能、5.5K60p RAW動画内部記録可能

新画像エンジン「DIGIC X」

DIGIC X を実装したメインボード

新開発「フルサイズ2010万画素CMOSセンサー」

ライブビュー撮影時に像面位相差AFを可能にする、デュアルピクセルCMOS AF

新開発「16点分離ローパスフィルター」イメージ

新開発「16点分離ローパスフィルター」構造図

動画撮影範囲

■AFに関する事項
・新開発 光学ファインダー撮影用 正方画素AFセンサーによる高密度191点、低輝度対応の高精度AF
・新開発約40万画素RGB+IR測光センサー
・ディープラーニング技術による追尾性能を高めたAFアルゴリズム
・顔検知+瞳AF+頭部検出
・ライブビュー時、最大約90%×約100%の領域でAF可能。自動選択時には最大525分割でAF可能。肉眼では見にくい暗い被写体もAF可能な測距輝度範囲EVマイナス6~18。

新開発 光学ファインダー撮影用 正方画素AFセンサー イメージ

新開発 光学ファインダー撮影用 正方画素AFセンサーモジュール

新開発 光学ファインダー撮影用 正方画素AFセンサー

■ドライブに関する事項
・光学ファインダー撮影時:16コマ/秒 ライブビュー撮影時:20コマ/秒
 ※ともにAF、AE追従撮影が可能
・バースト枚数:RAW撮影において、EOS-1D X Mark IIを上回る(最大5倍以上)連続撮影可能枚数を実現

16コマ/秒の高速連写を実現するミラーボックスユニット

16コマ/秒の高速連写を実現するミラー機構 イメージ

16コマ/秒の高速連写を実現するミラー機構 構造図

■ネットワークに関する事項
・Wi-Fi / Bluetooth Low Energy / GPSをカメラに内蔵(WFTを使用しなくてもスマホ連携やFTP転送が手軽に可能に)
・有線LAN / WFT無線通信(WFT-E9、802.11ac使用)→EOS-1D X Mark II及びWFT-E8と比較して高速化(最大2倍以上)
・ネットワーク接続ユーザーインターフェースをEOS-1D X Mark IIから改善
・従来からのFTP/FTPSに加え、新たにSFTP、認証LAN、HTTPSに対応
・オフライン環境でも通信設定作成が可能に

WFT-E9 2月中旬発売予定 オープン価格

WFT-E9 装着時

■信頼性に関する事項
・大きさを維持し、90g軽量化 幅158.0mm 高さ167.6mm 奥行82.6mmはEOS-1D X Mark IIと変わらず。重量は1340g→1250gに軽量化
・耐衝撃性、耐環境性を追求。マグネシウム合金の外装と防塵防滴構造
・新開発 高耐久シャッター:50万回の作動テストをクリア
・光るボタン搭載・マルチコントローラー搭載
・AF測距点操作用のマルチコントローラ―をAF-ONボタンに搭載
・CF Expressカード デュアルスロット搭載
・バッテリーはEOS-1D X Mark IIと共用のLP-E19を使用。電源マネジメントの見直しによりフルチャージで約2850枚撮影可能(EOS-1D X Mark IIは約1210枚)

耐衝撃性に優れるマグネシウム合金製の外装

各部にシーリングが施された防塵・防滴構造

50万回の作動テストをクリアした、高耐久シャッターユニット

各部の写真

キヤノン EOS-1D X Mark III 正面

キヤノン EOS-1D X Mark III 上面

キヤノン EOS-1D X Mark III 背面

キヤノン EOS-1D X Mark III 側面(グリップ側)

キヤノン EOS-1D X Mark III 底面

キヤノン EOS-1D X Mark III 側面(インターフェース側)

キヤノン EOS-1D X Mark III CF Express デュアルスロット部

キヤノン EOS-1D X Mark III 光学ファインダー表示

キヤノン EOS-1D X Mark III ケーブルプロテクター装着時

キヤノン EOS-1D X Mark III セット内容

キヤノン EOS-1D X Mark III

◎発売日:2月中旬発売予定

◎価格:オープン価格  予想市場価格:約80万円(税別)

◎撮像素子
撮像画面サイズ:約35.9×23.9mm
CMOSセンサー:有効約2010万画素
ダスト除去:自動/手動、ダストデリートデータ付加

◎記録
記録媒体:CFexpressメモリーカード * Type B対応:2カードスロット
画像タイプ:JPEG(8bit)、HEIF(10bit)、RAW(14bit、キヤノン独自)
RAW+JPEG同時記録可能
RAW+HEIF同時記録可能

◎記録画質・画素数
JPEG L 約2000万(5472×3648) M1 約1270万(4368×2912) M2 約890万(3648×2432) S 約500万(2736×1824)
HEIF L 約2000万(5472×3648)
RAW RAW/C-RAW 約2000万(5472×3648)

◎撮影時の画像処理
ピクチャースタイルオート、スタンダード、ポートレート、風景、ディテール重視、ニュートラル、忠実設定、モノクロ、ユーザー設定1~3

ホワイトバランス:
オート(雰囲気優先)、オート(ホワイト優先)、プリセット(太陽光、日陰、くもり、白熱電球、白色蛍光灯、ストロボ)、マニュアル(5件)、色温度指定(約2500~10000K)

画像の明るさ自動補正:オートライティングオプティマイザ機能搭載
ノイズ低減:高感度撮影、長秒時露光に対応
高輝度側・階調優先:可能
レンズ光学補正:周辺光量補正、歪曲収差補正、デジタルレンズオプティマイザ、色収差補正、回折補正

◎ファインダー
方式:ペンタプリズム使用、アイレベル式
視野率:上下/左右とも約100%(アイポイント約20mm時)
倍率:約0.76倍(50mmレンズ・∞・–1m-1)
アイポイント:約20mm(–1m-1時、接眼レンズ最後尾から)
視度調整範囲:約–3.0~+1.0m-1(dpt)
アイピースシャッター:内蔵
フォーカシングスクリーン:固定式

◎オートフォーカス(ファインダー撮影)
フォーカス方式:専用AFセンサーによるTTL二次結像位相差検出方式
測距点:最大191点(クロス測距点:最大155点)
  * 使用レンズにより、測距点数、デュアルクロス測距点数、クロス測距点数が変動する
  * 中央測距点はF2.8対応デュアルクロス測距
測距輝度範囲:EV -4~21(中央F2.8対応測距点・ワンショットAF・常温・ISO100)
フォーカス動作:ワンショットAF、AIサーボAF、手動(MF)
測距エリア選択モード:
 スポット1点AF(任意選択)、1点AF(任意選択)、領域拡大AF(任意選択上下左右)、領域拡大AF(任意選択周囲)、ゾーンAF(ゾーン任意選択)、ラージゾーンAF(ゾーン任意選択)、自動選択AF
被写体検知AF: EOS iTR AF(色情報、顔検出、頭部検出が可能)
  * iTR:Intelligent Tracking and Recognition
AFカスタム設定ガイド機能:Case1~4、CaseA
AIサーボAF特性:被写体追従特性、速度変化に対する追従性
AF微調整:AFマイクロアジャストメントにより対応(全レンズ一律調整、レンズごとに調整)
AF補助光:EOS用外部ストロボのAF補助光による

◎オートフォーカス(ライブビュー撮影/動画撮影)
フォーカス方式:デュアルピクセルCMOS AF
  * RAW, 4K 59.94p/50.00p(NTSC/PAL)動画撮影時はAF不可
AF方式:顔+追尾優先AF、スポット1点AF、1点AF、領域拡大AF(上下左右)、領域拡大AF(周囲)、ゾ-ンAF、ラ-ジゾ-ンAF(縦)、ラ-ジゾ-ンAF(横)
AFフレーム選択可能ポジション:最大3869ポジション
  * マルチコントローラーによる選択時
自動選択時AFエリア分割数:最大525分割
瞳AF:可能
拡大表示:約5倍/10倍拡大表示可能
測距エリア:横:約90%、縦:約100% 横:約80%、縦:約80%
  * 使用するレンズにより異なる
マニュアルフォーカス(MF): MFピーキング、フォーカスガイド

[ライブビュー撮影]
AF動作:ワンショットAF、サーボAF
コンティニュアスAF: 可能
測距輝度範囲:EV -6~18(F1.2・中央測距点・常温・ISO100・ワンショットAF)
AFカスタム設定ガイド機能:Case1~4、CaseA
サーボAF特性:被写体追従特性、速度変化に対する追従性

[動画撮影]
測距輝度範囲:EV -4~18(F1.2・中央測距点・常温・ISO100・ワンショットAF・29.97fps)
動画サーボAF: 可能
動画サーボAF特性:被写体追従特性、AF速度

◎露出制御
測光方式:
 ファインダー撮影:約40万画素RGB+IR測光センサー使用、216分割(18×12)TTL開放測光
 ライブビュー撮影/動画撮影:撮像素子の出力信号による384分割(24×16)測光

測光輝度範囲:
ファインダー撮影:EV 0~20(常温・ISO100)
ライブビュー撮影/動画撮影:EV -3~20(常温・ISO100)

ISO感度:
ISOオート(ISO100~102400自動設定)、ISO100~102400手動設定(1/3、1段ステップ)、およびL(ISO50相当)、H1(ISO204800相当)、H2(ISO409600相当)、H3(ISO819200相当)の感度拡張が可能
 * 高輝度側・階調優先設定時は、ISO200~102400

シャッタースピード
メカシャッター/電子先幕設定時:1/8000~30秒、バルブ
電子シャッター設定時:1/8000~0.5秒
ストロボ同調最高シャッタースピード=1/250秒

◎ドライブ関係
ドライブモード:
1枚撮影、高速連続撮影、連続撮影、低速連続撮影、1枚:ソフト動作、ソフト連続撮影、ソフト低速連続撮影、セルフタイマー:10秒、セルフタイマー:2秒

連続撮影速度:
ファインダー撮影時(高速連続撮影 *1)
  ワンショットAFおよびAIサーボAF/サーボAF
  最高約16コマ/秒(16~3コマ/秒に設定可能)
ライブビュー撮影時 *2
  最高約20コマ/秒

 *1:シャッタースピード、絞り、連続撮影中の絞りの状態、ストロボ撮影、フリッカーレ
ス撮影:する、電池残量、温度、被写体条件、明るさ(暗所での撮影等)、レンズの種類、
電源の種類、内部メモリーがフル時(一時的に撮影ができなくなる)などの条件により低
下することがある
 *2:電子シャッター時には、連続撮影速度は高速連続撮影と同じとなる

◎連続撮影可能枚数
JPEGラージ:1000枚以上
HEIFラージ:1000枚以上
RAW:1000枚以上
RAW+JPEGラージ:1000枚以上
RAW+HEIFラージ:約350枚

◎外部ストロボ
対応ストロボ:EL/EXスピードライト
調光方式:E-TTL II 自動調光
ストロボ調光補正:1/3、1/2段ステップ±3段
FEロック:可能
シンクロ端子:あり

◎モニター
形式:TFT式カラー液晶モニター
画面サイズ/ドット数:3.2型(3:2)/約210万ドット
明るさ調整:手動(7段階)
色あい調整:暖色/標準/寒色1/寒色2
メニュー表示言語:日本語、英語
タッチパネル:静電容量方式
カメラシステム情報確認:可能

◎カメラ内RAW現像
明るさ補正、ホワイトバランス、ピクチャースタイル、明瞭度、オートライティングオプティマイザ、高感度撮影時のノイズ低減、記録画質、色空間、レンズ光学補正(周辺光量補正、歪曲収差補正、デジタルレンズオプティマイザ、色収差補正、回折補正)
リサイズ:可能
トリミング:可能

◎通信機能
[Wi-Fi]
準拠規格IEEE 802.11b/g/n
伝送方式DS-SS変調方式(IEEE 802.11b)、OFDM変調方式(IEEE 802.11g/n)
送信周波数(中心周波数) 周波数:2412~2462MHz
チャンネル:1~11ch
接続方法カメラアクセスポイントモード、インフラストラクチャー*
* Wi-Fi Protected Setup対応
セキュリティー認証方式:オープン、共有キー、WPA/WPA2-PSK
暗号化:WEP、TKIP、AES
接続可能機器スマートフォン、パソコン、FTPサーバー

[有線LAN]
型式Ethernet
準拠規格IEEE 802.3u(10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T)
接続可能機器アクセスポイント、パソコン、EOS-1D X Mark III*
* カメラ間時刻同期機能使用時

[Bluetooth]
準拠規格:Bluetooth Specification Version 4.2準拠(Bluetooth low energy technology)
接続可能機器:スマートフォン

GPS機能
対応衛星GPS衛星(アメリカ)、GLONASS衛星(ロシア)、準天頂衛星みちびき(日本)
画像への位置情報付加緯度、経度、標高、協定世界時(UTC)、衛星捕捉状態
位置情報の更新間隔1/5/10/15/30秒間隔、1/2/5分間隔
位置情報の保持時間10分/30分/1時間/3時間/6時間/制限なし
時刻合わせGPSの時刻データをカメラに設定

◎大きさ・質量
大きさ:約158.0(幅)×167.6(高さ)×82.6(奥行)mm
重量:約1440g(バッテリー、カードを含む)/約1250g(本体のみ)