現在、キヤノンギャラリー銀座にて、奥原十三写真展「Night Song ~近代化遺産にうごめくの~」が開催されています。奥原十三さんは、企業の歴史、産業・戦争遺産を調査、研究している産業史家であり、30年余りにわたって日本の近代化に貢献した工場・鉱山跡などを訪ね歩き、撮影を重ねました。今回の写真展では、その撮影の中で見つけた床板の節目や壁面など、近代化遺産の模様やかけらにフォーカスした作品が展示されています。

産業史家であり、写真家でもある奥原さんの視点

奥原さんが、産業遺産に関心をも持つようになったきっかけは、小学生時代を過ごした九州の山間にある製紙工場であり、その工場は、奥原さんの父親が勤めていた九州発の近代的製紙会社だったそうです。奥原さんは、社宅から眺めることができる工場から聞こえる音、煙突から出される煤煙、そしてその匂いに、子供ながらに五感が刺激されたといいます。会社は名前を4回変えて90年間稼働し、1988年に閉鎖。廃工場の壁や塀を見れば、その歴史に思いを馳せるようになったのは、奥原さんにとって必然だったのかもしれません。

「harassment」
作品には、タイトルや撮影場所、その被写体にまつわる物語が奥原さんの視点で紹介されています。

左)「ムーミン」 右)「猿夫婦」
産業遺産を訪ね歩き、20年余りが経過した頃、その建造物や壁面に、何かが潜んでいる!と感じるようになった
奥原さん。奥原さんの目には、動物や昆虫をはじめ、多くの生き物が節目模様となって、あちこちに浮かびあがっては写ったのです。

写真展情報

奥原十三写真展「Night Song ~近代化遺産にうごめくもの~」
■会場:キヤノンギャラリー銀座 東京都中央区銀座3-9-7
■会期:2019年7月18日(木)~7月24日(水)
■開館時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
■休館日:日曜日、祝日