写真は誰でも手軽に楽しめる趣味だけど、自分の腕前がどの程度なのかというのはよくわからないもの。コンテストに応募して、毎回入賞をするといった実績はわかりやすいけどそれも簡単ではない。だからこそ写真愛好家・関係者の基礎資格の「フォトマスター検定」にチャレンジして、自分の写真力の確認と向上を目指してみたらどうでしょう!

「フォトマスター検定」ってどんなもの?

フィルムカメラとは比較にならないぐらい多機能で高性能になったデジタルカメラ。使いこなすにはより広い知識を必要とするようになったことは改めて述べるまでもないだろう。特に自分の思いどおりの表現を実現するためには、覚える必要のある知識やテクニックはとても多い。そのため写真愛好家のなかには、日夜カメラや写真関連の本に穴が開くほど目を通し、撮影セミナーなどに足繁く通うひとも少なくない。しかし、自分のカメラ・写真に関する知識がどの程度のレベルなのか、また見落としている知識、テクニックなど無いのか、たいへん気になるところである。そのようなときより良い指針となるのが“フォト検”こと「フォトマスター検定」である。

フォトマスター検定は公益財団法人国際文化カレッジが主催する民間資格だ。本年で15年目となる検定で、これまでの受験者数は、のべ8万5千人以上を数える。検定にはカメラメーカー、カメラアクセサリーメーカー、カメラ媒体(雑誌)、印刷会社など25の企業、編集部が協賛する。さらに民間資格ながら文部科学省の後援となっており格式と信頼性ある資格としている。実際、カメラ量販店やカメラメーカーなどでは社員にこのフォトマスター検定を受けさせ、名刺やネームホルダーなどに資格保有者であることをアピールしているところも少なくない。もちろんこの資格がなくても写真撮影は楽しめるし、カメラ・写真の話も自由にできるのだが、より深く理解していることをアピールできるものと述べてよい。

「フォトマスター検定」はどのような試験?

フォトマスター検定は、習得レベルに応じて4段階に分かれている。一番下位となる3級に始まり、
2級、準1級、そして最難関の1級となる。どの級からも受けることができるが、検定を初めて受ける場合まずは3級からスタートするのが良い。3級のままで留まるのもよいが、ここはぜひ上を目指し、最終的には1級を取得してほしいところである。なお、同日に連続する二つの級を受けることができるので、3級の受験者なら同日に2級の受験も可能だ。ぜひ自信のある写真愛好家は3級と2級の同時受験に挑戦してみるとよいだろう。ちなみに検定は現時点で年1回開催されている。上位級の合
格を目指すには次年度も視野に入れて、しっかりとした受験勉強が必要だが、目標を持って挑戦するにはちょうどよい期間と言えるだろう。

試験の内容や出題のレベルを知るには、過去の問題集が主催する国際文化カレッジから、他の出版社からも用語集と合わせて発売されているのでそれを参考にするとよい。いずれも分かりやすく解答を解説しているので、出題の傾向を知ることができるほか、写真・カメラの知識も同時に身につくはずだ。試験会場については、各都道府県に最低一箇所ずつ設けられている。住所の都道府県と関係なくどこでも受験できるので、当日都合のよい会場を選択するとよい。また、グループ、企業、学校等で
10名以上の出願者を取りまとめることができる場合、団体受験として自分たちの会社の会議室や学校の教室を受験会場とすることもできるので、仲間といっしょに受験してもよいだろう。

フォトマスター検定事務局発行
「過去問題の解答と解説5」

フォトマスター検定事務局発行
「過去問題の解答と解説6」

今年こそ受験して、写真力の確認とアップを目指そう!

昨年2018年度フォトマスター検定は4千932人が受験。合格率は、3級86.26%、2級74.67%、準1級40.67%、1級28.56%と言う結果であった。1級や準1級の合格率については、その難しさから分からなくもないが、2級で受験者4人に1人が、3級でも10人に1人以上の受験者が不合格となっている。受験する際は、前述したとおり過去問題集などでしっかりマスターしておく必要があることは述べるまでもない。もちろんこの難関を突破すれば栄えあるフォトマスターとして認められ、その証としてフォトマスター認定カードが交付される。ぜひとも自分のカメラ・写真の知識を確固たるものにし、この名誉を勝ち取っていただきたい。今年(2019年度)のフォトマスター検定試験日は11月17日(日)。本稿アップロードからからカウントして半年ほど先となる。繰り返しとなるが、いずれの級を受験するにしてもフォトマスター検定のための問題集を開き、繰り返ししっかり学習すれば今からでも全然遅くはない。興味ある向きは己の写真力の証として前向きに受験を検討してみてほしい。なお、受験申し込みは8月20日(火)から9月24日(火)まで。その日までに受験の手続きを忘れないようにしよう。

「フォトマスター検定」合格者の体験談

第16回(3級)合格者 T・Kさん
45年以上も前、中学生の時に写真と出会い、それ以後は趣味の一つとして楽しんできました。還暦に近づき第2の人生をより豊かに過ごしたいと思い、もう一度写真に取り組んでみようと勉強を始めた次第です。私にとって、フォトマスター検定は写真に対する自分自身の知識レベルの確認に、とても良い指標となりました。過去問題集を2冊(試験4回分)購入して、問題を解きつつ解答を見て、一喜一憂しながら楽しんで勉強ができました。この度3級と2級のダブル受験にトライして合格できたことは、とても励みになります。これから写真を通じて、日々の生活や人生を豊かにできそうな予感にワクワクします。

第16回(2級)合格者 K・Nさん
最初に手にしたカメラは小学校の時、学研科学の付録でした。その後、兄に借りたカメラで写すカメラ小僧時代を経て、高校生の時1眼レフカメラを手にしました。それからは写真雑誌を教材として、あらゆるものを写し楽しんでいました。ロバート・キャパや篠山紀信さんに憧れ、いずれあのようになれたらと思っていましたが、就職をさかいに夢へと薄れていきました。50代も半ばにきたところで、通信で写真を習うことができる学校があることを知りました。一念発起、少年の頃の憧れを思い出し入学し、写真を学んでいる中でこのフォトマスター検定のことを知りました。学校だけでは学べない、写真とカメラに関する知識と技術も身に付けなければいけないと思い、しっかり学習し受験することにしました。準1級と2級のダブル受験にチャレンジし、おかげ様で二つとも合格することが出来ました。フォトマスター検定での学習は、自身のカメラ、写真における知識、技術の幅を広げてくれたことに大変感謝しています。

お問い合わせ先

公益財団法人 国際文化カレッジ
フォトマスター検定事務局
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場4-2-38
TEL:03-3361-2505
FAX:03-3367-3114
(9:00~17:30 土、日、祝日、年末年始を除く)

公式HP

文:大浦タケシ

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマン、デザイン企画会社を経て、フォトグラファーとして独立。以降、カメラ誌及び一般誌、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。2004年10月、フォトマスター検定EX取得。