デジタルカメラの動画撮影機能を使っていますか?「そう言えば購入してから一度も使ったことがないなぁ...」なんてモッタイない! 写真家、映像作家として活躍する上田晃司さんに動画の楽しさ、奥深さを教えてもらう連載企画です。この記事は月刊カメラマン誌に掲載されたものです。

動画撮影はレンズにもこだわろう!」

今回のポイント
●動画撮影の手始めはAFレンズでもいいが、慣れてきたらMFレンズを使おう!
●MFレンズはスムーズなピント合わせが可能になるなど、メリットが多い!

MF のメリットは動画撮影で使えば分かる!

今回は動画撮影で使用するレンズについ て考えてみたい。読者の皆さんの多くは動 画撮影時には静止画で使用しているレンズ群を活用している方が多いはず。しかし、動画撮影においては静止画用のレンズはデメリットが多い。

静止画撮影用のレンズは基本的に静止画を撮るために必要な機能しか備えていない。静止画撮影ではオートフォーカスが主流だが、動画でオートフォーカスを活用することはあまりない。その理由は AF作動音やコントラスト AFの動きが動画に向いていないからだ。

近年では動画にも対応したミラーレス一眼用の AF レンズも発売されており、作動音やピント合わせが比較的スムーズな物もあるが、シーンなどによって はやはり思いどおりにならないことが多い。初心者の時は AFでも問題はないが、動画撮影に慣れてきた場合は、「MF(マニュアルフォーカス)」でしっかりピントを合わせた方がイメージどおりになりやすい。

正直なところ、プロの動画撮影は MF が主流だ。慣れるまでは少し大変ではあるが、慣れてくるとピント合わせはスムーズにで きる。動画はピントの動きまですべて記録するので、いかにスムーズにピントを合わせるかがカギとなる。スムーズにピントを合わせるとなると、AFのレンズはあまり使い勝手が良いとは限らない。

AFレンズはフォーカスリングがスムーズな物は良いが、物によってはスムーズではない場合もある。少し拘るのであれば、MFレンズがオススメだ。カメラメーカー純正ではMFレンズも減ったが、レンズメーカーはMFを出している。

作例動画01 AFレンズで撮影

▼オートフォーカスで撮影するとピント合わせの際、画面が大きく動いてしまう。 正直な話、動画を見ている人はカメラを意識してしまうのでAF はオススメできない。

月刊カメラマン2018年8月号「動画しましょう!」作例01

youtu.be

作例動画 02 MF レンズで撮影

▼ツァイス Milvus を使用して、MF で ピント合わせを行った。ピント送りをスムーズに行うことができた。キーポイントとして、ピント送りの際、ピントが手前で止まったり、行き過ぎたりするとカッコ悪いのでピッタリと被写体でピ ントが止まるようにフォーカスを送ろう。

月刊カメラマン2018年8月号「動画しましょう!」作例02

youtu.be

▼動画を本格的に撮影したいハイブリッドフォトグラファーには、MF のレンズを活用して欲しい。カールツァイスからは一眼レフ用のMFレンズ Otus、Milvusシリーズ、ミラーレス用には LoxiaシリーズのMFレンズを発売している。

筆者はカールツァイスレンズを動画撮影 でも愛用している。MF 専用なので最初は慣れが必要だが、スムーズなピント合わせはAFレンズをMFで使う際とはまったく異なる。動きもスムーズで、レンズには距離指標がついており、とてもピント合わせがしやすい。フォーカス時の音もなく音を撮影する際にも役立つ。 動画撮影の魅力を知ってしまった方はぜひMFレンズを使って、ピント位置をスムー ズに変化できるMFレンズを活用してみると良いだろう。

距離指標はピント合わせに役立つ!

▼ツァイス Milvus 1.4 / 50にはフォーカスリング周りに距離指標がしっかりと表記されているので、ピント合わせに役立つ。