デジタルカメラの動画撮影機能を使っていますか?「そう言えば購入してから一度も使ったことがないなぁ...」なんてモッタイない!  写真家、映像作家として活躍する上田晃司さんに動画の楽しさ、奥深さを教えてもらう連載企画です。この記事は月刊カメラマン誌に掲載されたものです。

応用のポイント

・グレーディングをするならクリエイティブスタイルは「ニュートラル」に。
・α9は動画撮影でも実用的なAF性能を搭載しており、手ブレ補正も有能!

旅先でも手軽に高画質な動画撮影ができるα9!

ソニー α 9 は意外なことに他の機種に搭載している動画用のプロファイル S-Log(ダイナミックレンジが広く、色再現性も広い状態で撮影できて自由度の高い 映像表現が可能)を搭載していない。 動画性能重視というよりは静止画の方が重視されている表れだろう。そのため S-Logを搭載しているα7 IIIやα7S II、α 7R IIIよりは動画機能面としては若干機能面では劣っている。

ではα 9 ではどのように撮影すれば良いか考えてみた。グレーディングをしないのであれば、好みのクリエイティブスタイルを使うとよいが、グレーディングをするのであれば、クリエイティブスタイルをニュートラルに設定するのがベスト。

作例動画 04 グレーディングを施す

▼ニュートラルのパラメーターをカスタムしただけでは味気ない映像になるが、筆者の好みになるようにグレーディングを施すとイメージ通りに仕上がった。

月刊カメラマン2018年6月号「動画しましょう!」作例04

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さらにクリエイティブスタイルの設定をコントラストと彩度をマイナス3にするこ とで非常に質のよいデータを得られる。そこから、動画編集ソフトやグレーディングのソフトウェアを使って調整をすると非常にきれいな映像表現が可能だ。S-Logのように知識や波形モニターなどを使用する必 要もなく、静止画を撮影する感覚で動画撮影できるので、多くの場合はニュートラ ルで十分だ。

クリエイティブスタイルの設定

▼クリエイティブスタ イルの設定からニュートラルを選択し、パラメーターの微調整をコントラスト -3、彩度 -3 にすると非常に浅い画になるが、階調が非常に豊かになりグレーディ ングしやすい。

そしてα 9 の非常に優れている点はやはり AF の追従性能だろう。静止画では誰もが納得するピント性能だが、動画でもかなり使用できる。タッチパネルを使えば的確にピント合わせができる。ただ、ピントを合わせるだけでなく、スムーズにピントを合わせてくれるので実用的なオートフォーカスだ。 実用が難しいカメラとは、コントラスト AF 時に被写体を一度大きく通り過ぎてピ ントを合わせるカメラだ。そうすると自然なピント合わせではなく、ピントが大きく外れて戻ったことの方が気になってしまう。

4K 時代にはピントの精度を求められるので、 α 9 は実用的な AFを搭載しているといえるだろう。動画時の AF速度も調整ができるため、シーンに応じてAF 駆動速度を高速、標準、低速から選択することも可能だ。 高性能な AF 性能と5 軸の手ブレ補正と組み合わせて使えば、手持ちで気軽に撮影できるメリットがある。スナップムービー的な使い方から、旅、ポートレートムービーなど使い方も三脚などに固定することなく自由に撮影できそうだ。

作例動画 05 ピント合わせ

▼AFでのピント合わせのテストを行った。動きは スムーズでタッチした所にしっかりとピントを合わせることができていることが分かるだろう。速度は標準でテストしている。

月刊カメラマン2018年6月号「動画しましょう!」作例05

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AF速度の設定

▼ピント合わせのスピードを変更するには、AF 駆動速度を高速、標準、低速から選択する。基本は標準で良いが、動き物は高速、風景などは低速にすると良いだろう。

撮影と解説は写真家・映像作家の上田晃司さん

米国サンフランシスコに留学し、写真と映像を学ぶ。現地滞 在中からテレビ番組、 CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フォトグラファーとして活動開始。現在は雑誌、広告を中心に活動し、写真教室の講師や講演、書 籍の執筆活動も精力的に行っている。現 在、ニコンカレッジ講師、パナソニック LUMIX フォトスクール講師、Profoto オフィシャルトレーナー、Hasselblad 2015 アンバサダーを務める。