Webカメラマンの連載「生徒諸君!~写真の基礎と応用の逆転劇~」では、知っているようで知らない写真の基礎、いまさら聞けない基本的な知識をおさらいしながら、実はタブーだと思っていたことも使い方次第では有効なテクニックになったり、写真上達の手助けになる逆転劇をお送りします。
作例と解説は写真家の水咲奈々です。

カメラ初心者さん、フィルム時代から撮り続けているけど基礎はちょっぴり不安な方、プチ・スランプにハマってしまった方、もっと自由に写真を撮れるようになるために、写真表現のボキャブラリーを増やしましょう!

Lesson 5. ポートレートのピントは目ではなくてまつ毛の根元

ポートレートのピントはカメラに近いほうの目に合わせるというのは、かなり浸透してきた一般的なセオリーでしょう。必ずそこに合わせなければいけないというわけではありませんが、人間の目は見る人の視線と気持ちを惹きつける力強いパーツなので、特別な意図がなければこのセオリーに乗っ取ったほうが主題のはっきりとした写真、魅力的な写真になりやすいのは確かです。

まつ毛がシャキッと見えるようにピントを合わせましょう!

それでは、黒目や白目にピントを合わせるのかというと、顔が斜めを向いているときなどはピントの位置が少しズレるだけで美しくない画になってしまいがちなので、ターゲットはもっと小さくてはっきりしている物のほうが合わせやすいです。そこでお勧めしたいのが「上まつ毛の根元」です。

赤い丸で囲んだカメラに近いほうのモデルの左目の、上まつ毛の根元にピントを合わせています

ピントを合わせた左目の拡大。ピントチェックは目の玉ではなくてまつ毛のシャープさを確認しましょう

目尻に近いまつ毛の根元にピントを合わせることで、しっかりとピントが合えば一本一本のまつ毛がシャキッとシャープに描かれます。ピントが合っているかの確認は必ず拡大再生して行いましょう。また、カメラのAFポイントの設定はシングルポイントAFなどの小さな枠でしっかりと狙った方が、オートAFなどの沢山の枠でどこにピントが合うかわからない設定よりも速く、確実にピントを合わせることができます。液晶をタッチするタッチAFなどを使う場合も、指の先でしっかりと狙いましょう。

ポートレート初心者さんは最初は小さなターゲットに戸惑うかも知れませんが、撮り慣れて来るうちにピントの精度が上がって、狙ったところにピントの合う確率が高くなってきますので、諦めないで狙い続けてくださいね!

水咲奈々 -Nana Misaki-

東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やイベント、ニコンカレッジやLUMIXフォトスクールの写真教室など、多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。(社)日本写真家協会(JPS)会員。
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