富士フイルムが誇るAPS-Cダブルフラッグシップのひとつ、最新の技術を凝縮したX-T2。月刊カメラマンでは2017年8月号から12月号にかけて、5つのジャンルのトップの写真家5人がそれぞれX-T2で撮影し、その高いポテンシャルをレポートした。その様子を再掲する。第1回目はネイチャー写真家・並木 隆氏のインプレッションだ。

富士フイルム X-T2主要スペック

fujifilm.jp

●有効画素数:2430万画素●撮像素子:APS-C(23.6×15.6㎜)X-Trans CMOSⅢ●ISO感度:ISO200~12800(標準)、ISO100/125/160/25600/51200(拡張)●連写性能:約14コマ/秒(電子シャッター設定時)、約11コマ/秒(VPB-XT2装着時)●ファインダー視野率(上下):100%●ファインダー倍率:0.77倍●記録メディア:SDHC/SDXC/SDカード●ボディサイズ:W132.5×H91.8×D49.2㎜●重量:約507g●ボディ単体価格:オープン(実勢税込価格:16万9200円※)※実勢税込価格は2017年7月末の都内量販店のものです。レンズも同様です。

鮮やかだけど色にくどさを感じない!
このグリーンに惚れた!

ユリ
森の中にひっそりと咲く雰囲気を出そうと、日陰に咲いているユリを探す。でも華やかさも少し欲しいなと、あえて陽の当たる背景を取り込んだ。日陰のグリーンも、日向のグリーンもキレイに再現してくれる富士だからこそ、なんだよね。
■XF90mmF2 R LM WR 絞りF2 プラス1.0露出補正 *共通撮影データ=絞り優先AE W B:太陽光 ISO400 フィルムシミュレーション:ベルビア


アガパンサス
アガパンサスの雰囲気は残しつつ、水滴を強調するために花びらの後ろ、軸についている水滴にピントを合わせた。微妙なピント合わせも、ピーキング機能をオンにしておけば、ピントの合っている場所を色で確認できる。
■XF60mmF2.4 R Macro 絞りF2.4

クレオメ
地面スレスレのローアングルもチルト液晶で楽々。ほぼ全面にあるAFエリアと瞬時に選択できるフォーカスレバーは、構え直すことなくワンアクションでエリア選択が可能。快晴で背面液晶が見にくくても、ファインダーを覗けば大丈夫。
■XF10-24mmF4 ROIS 絞りF 16 プラス0.7露出補正

 最初に富士のカメラで撮影したときの印象は『色がすげーキレイ!』でした。とくにグリーンは惚れ惚れするくらい。これまで使ってきたカメラの仕上がり設定はデフォルトのみ。なぜなら、鮮やか設定では彩度やコントラストが高すぎて色飽和しやすく、くどい色になってしまうので好みじゃなかった。
 でも、富士の仕上がり設定である「フィルムシミュレーション」のベルビアは、鮮やかだけど色にくどさを感じない。見た目の鮮やかさではなく、記憶の中にある色の鮮やかさを再現しているというか、色に深みがある…と表現すればいいのかな。とにかく、この色がすごく気に入った。
また、JPEG重視の絵作りも気に入っている。一般的にどのメーカーも情報をできるだけ残そうと、白トビしないように、黒潰れしないようにする傾向が強いので、とくに曇りでは撮影後にコントラストなどを微調整するのが当たり前だった。
 しかし、富士は思い切り良くハイライト・シャドーともに切るときはバッサリと切る。初めて撮影画像のヒストグラム見たときは“ここまでしちゃう富士って、すげーな”と衝撃だった。
 でも、これってフィルムと同じ仕上がりをデジタルで追求してきた結果なんですよね。たぶん富士からすると、すごーく当たり前のことで「なんで今さらそんなことで驚いているの?」って言われそう(笑)
 撮影していて楽しいカメラに出会えた。そして、これからもよろしく!

今回の撮影で使用したフジノンX レンズ
XF10-24mmF4 R OIS

fujifilm.jp

●レンズ構成:10群14枚●絞り羽根枚数:7枚●最短撮影
距離:50cm(標準)24cm(マクロ)●最大径×長さ: Φ78×87㎜●重さ:410g●フィルター径:72㎜●実勢税込価格:
10万5660円※

XF60mmF2.4 R Macro

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●レンズ構成:8群10枚●絞り羽根枚数:9枚●最短撮影距離:60cm(標準)26.7~200cm(マクロ)●最大径×長さ:Φ64.1×63.6㎜●重さ:215g●フィルター径:39㎜●実勢税込価格:6万8740円※

XF90mmF2 R LM WR

fujifilm.jp

●レンズ構成:8群11枚●絞り羽根枚数:7枚●最短撮影距離:60cm●最大径×長さ:Φ75×105㎜●重さ:540g●フィルター径:62㎜●実勢税込価格:10万9600円※

撮影・解説 並木 隆

1971年、東京出身。高校在学中に写真家・丸林正則氏と出会い、写真の指導を受ける。東京写真専門学校(現、東京ビジュアルアーツ)中退後、フリーの写真家に。現在、各種雑誌誌面での作品発表や執筆、写真教室講師として活躍中。主に花をモチーフに作品を発表し続けている。日本自然科学写真協会、日本写真家協会、日本写真協会会員。

■問い合わせ=富士フイルム FinePixサポートセンター TEL:050-3786-1060 受付時間:月曜~金曜 9時30分~17時30分/土曜・日曜・祝日 10~17時

※この記事は月刊カメラマン2017年8月号掲載当時のものです。
※カメラの実勢税込価格は2017年7月末の都内量販店のものです。レンズも同様です。