EOS RPの後継機にしては立派なお値段ですが…。
価格は公式オンラインショップにて、ボディ単体で26万4000円(税込)、RF24-50mmF4.5-6.3 IS STMとの組み合わせになるレンズキットが29万3700円(税込)となっています。またレンズ単体では5万380円(税込)なので、レンズキットで購入した方がお得です。
EOS Rシリーズのエントリーモデルとしては既にEOS RPがありますが、本機はRPのボディをベースとした後継モデルとのこと。RPの市場価格からすると随分とご立派になられました。しかしEOS R6 MarkⅡと同等の約24MPセンサーと映像エンジンDIGIC Xを踏襲し、電子シャッター時に最高40コマ/秒の超高速連写が可能であったり、被写体認識についてもEOS R6 MarkⅡと同等であるなど、撮影性能の大部分を引き継いでいる点は魅力です。
ただし、電子先幕およびメカシャッター時に最高約6コマ/秒と高速性についてはR6 Mark Ⅱの半分しかなく、ボディ内手ブレ補正もナシ、メディアスロットはシングルスロットかつバッテリー室に同居のタイプなど、EOS RPの面影を残しているところもあり「あれ? 腹括ってEOS R6 MarkⅡを買ったほうが良くね?」というヨコシマな感情が芽生えなくもないですね。
バッテリーはEOS RPやEOS R10、同時に登場したEOS R50などと同じLP-E17を使用するので、EOS Rからの買い替え狙いの場合は、残念ながらバッテリーの共用は出来ません。ちなみにEOS RPは併売とのことです。
AF性能はまさに最新にして最強…キヤノンの技術を凝縮
手にした感じやレリーズの感触はEOS RPそのもの。ですが、操作に対するレスポンスやEVF表示のラグの少なさなどは大きく改善され、軽快さはEOS R6 MarkⅡに匹敵しています。一眼レフに慣れている人であっても、このレスポンスであれば「ミラーレスはまどろっこしい」というネガティブな印象は持たないハズ。
こうした使い心地の良さや自然さはキヤノンならではのもので感心しますが、ふとした拍子に「26万円」という価格が心に刺さるし、「ビギナーに30万も払わせるのかい?」と思わなくもないです。
AFはスコブル付きで快適。サーボAF中のAF枠の更新速度が非常に高速でAFが頑張っている感もありますし、結果も伴っているので撮影していて信頼感が高まります。このAF性能を体験してしまうと他社機に乗り換える気にはちょっとならないかも? というレベルにまで達しています。
操作性は、上位モデルとは異なり、例えばマルチセレクターなどは持っていません。が、右手だけで基本的な操作は完結できますし、EVFを覗きながらの撮影ではタッチパッド操作で快適にAF操作も可能です。下手にマルチセレクターを操作するよりもタッチパッド操作の方がスムースなのでLCDが汚れるというデメリットはありますが、コレはコレで良いのでは?
RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM 主な仕様
●焦点距離:24-50mm
●最短撮影距離:0.3m(W)/0.35m(T)
●最大撮影倍率:8群8枚
●最小絞り:F22(W)-32(T)
●絞り羽枚数:7枚
●フィルターサイズ:58mm
●大きさ・重さ:φ69.6×58mm・約210g
●付属品:
新しい標準ズームの使い心地は上々。AFは静粛かつ高速で精度も高く、写りはどの条件でも不満なく基本的にシャープなので「スナップならこれ1本で良いんじゃねーか?」という気持ちが出てきます。
接写性はソコソコで過不足はないですが、フワフワなっても良いからテレ端であと5cm寄れれば、と思わなくもないところ。ちなみに、ほぼ同じスペックのZ24-50mmよりも少しだけ寄れるところにライバル心を感じました。
強力な撮影性能と軽量ボディのバランスをどう判断するか
価格設定に疑問を感じないとは言えませんが、まぁ、アレコレ考えずにフルサイズ機で気持ち良く快適にキレイな写真を撮りたい人向け、と思えば巧妙なポジショニングであるようにも感じられます。
EOS R5のサブ機に、と思って買ったらいつの間にかメイン機になっていた、という切れ味鋭いタイプでもありますし、性能からすると納得のプライスタグだとは思います。実際に使ってみて悲しい気持ちになることはありませんでした。強いて言えばシャッターの感触が弱々しいだけかな。
それよりも快適なAF性能とカメラのレスポンスによって安楽に撮影を楽しめたことの記憶の方が鮮烈です。
思い返せば、「より上位モデルと同じセンサーとエンジンを搭載したコンパクトなモデル」という戦略はフジフイルムがかねてより採用しているものなので、フルサイズでもそういった展開があっても不思議ではありません。
ひとたびそう考えてみると、機材をダウンサイジングしたいけれど、センサーサイズや撮影性能は変えたくないと思った時の、いわば最適な受け皿なのかも知れません。