ソニー FE PZ 16-35mm F4 G 主な仕様
●焦点距離:16-35mm
●最短撮影距離:0.28(W)-0.24(T)mm
●最大撮影倍率:0.23倍
●レンズ構成:12群13枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:7枚(円形絞り)
●フィルターサイズ:φ72mm
●大きさ・重さ:φ80.5×88.1mm・353g
●付属品:フード・ケース
ついに松・竹・梅が揃ったワイドズーム
フルサイズ対応のパワーズームの1本目は2014年発売のFE PZ 28-135mm F4 G OSS。外観はモロに業務用途の動画ユーザー向けの佇まいだったが、このFE PZ 16-35mm F4 Gは今時のVlogや映像クリエーターだけでなく、静止画ユーザーにも対応するコンパクト鏡筒の一本となっている。
Gエンブレムとフォーカスストップボタンの間に追加された無段階変速タイプのズームレバー、最近ではお約束の絞りリングや付随するスイッチ類も搭載し、小さいながらも最新モデルの雰囲気はムンムン。
レンズ内手ブレ補正機構の非搭載や鏡筒材質の違いはあるものの、開放絞り値が同じVario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSとの比較では、重量約30%減の353gと軽量。全長こそ2.5ミリほど長いが、最大径は約10ミリもスリムになっている。
贅を尽くした光学設計の高級大口径レンズと比べてはいけないのだろうけど、旗艦FE 16-35mm F2.8 GMと比べれば重量も価格も約1/2ほどと一層コンパクト。鏡筒サイズの差は書くだけ野暮なので割愛するけれど、なにかと嵩張る携行機材を圧縮したい人には最適なセレクトとなるだろう。なにせ2022年3月現在における、絞り開放F4.0通しのフルサイズ用ズームの中で世界最小・最軽量なのですから。
インナーズムで動画ユーザーへの配慮もバッチリ
●16mm
●24mm
●35mm
ついでにこの松竹梅3本を比較すると、ワイド単での最短撮影距離は3機種とも0.28mと同じだが、FE PZ 16-35mm F4 Gはテレ端でさらに少し寄れて0.27m。このおかげで最大撮影撮影倍率は0.23(他の2本は0.19倍)まで稼げるようになった。ちなみにズーム操作による鏡筒長と重心バランスに変化を伴わないインナーズーム仕様のため、ジンバルが使いやすい点も動画ユーザーへの配慮もバッチリ。
実際に持ち歩いていると携行しやすいというだけでなく、ワイドレンズ特有の遠近感強調を得るための極端なポジション・アングルで手持ち撮影する場合などカメラと総重量が軽く保持がラク。カメラボディ側の手ブレ補正のみにはなるが、片手での撮影も他の2本に比べれば断然決めやすい。また設定値を直視して操作できる絞りリングのおかげで撮影フィーリングは軽快なため、これ1本ぶら下げて街中を撮り歩くのもなかなか楽しい。
コンパクトな筺体ゆえの悩みも…
超広角レンズといことで、高い位置のギラギラな太陽をわざと構図内に入れ込んでも画質低下の耐性は強く、目障りなゴーストなどの発生は気にならなかった。歪曲はカメラ側のレンズ補正が有効なJPG撮影はもちろんのこと、RAWも純正アプリImagingEdgeで現像するぶんには良好に補正される。
テレ端最短距離の絞り開放時にややシャープネスが甘くなる印象があるが、良く言えば硬すぎず柔らかな描写だし、敢えて画質を落とす編集も好まれたりする昨今では気にすることもないだろう。フルサイズ用Gレンズとしては過不足ない描写力が備わっている。
操作性に関しては、手が大きく指が太いユーザーが感じる些細なことだが、コンパクトな鏡筒ゆえに各操作部の間隔が近く静止画撮影用途ではやや窮屈。絞りリング操作時にズームレバーに触れてしまうことがままあり、意図せずズーム位置をずらしてしまう。
敏感に反応するようにセッティングされているのは、抵抗が少ないズームリングの操作感も含めて動画撮影用途では逆に歓迎されるテイストなのだろう。これこそ慣れるしかなさそう。
パワーズームは動画撮影で便利なだけでなく、静止画撮影ではパソコンやスマホのアプリからズーミングをリモートコントロールできるレンズ。ネイチャーやワイルドライフ、スポーツ分野などカメラから離れなければならないシチュエーション、特殊だがドローンやハイスタンドの撮影ではこのレンズにしか撮れないシャッタ―チャンスもあるだろう。