シグマ 24mmF2 DG DN | Contemporary 主な仕様
●焦点距離:24mm
●最短撮影距離:0.245m
●最大撮影倍率:1:6.7
●レンズ構成:11群13枚
●最小絞り:F22
●絞り羽枚数:9枚(円形絞り)
●フィルターサイズ:φ62 mm
●大きさ・重さ:φ70×72(74=Eマウント)mm・365g(360g=Eマウント)
●付属品:花形フード メタルキャップ
24㎜F3.5 DG DNから1年と経ずに投入
本レンズよりも前にシグマ“Iシリーズ”にはすでに開放F値F3.5の24mm F3.5 DG DN | Contemporaryがラインナップされており、発売次期は1年もずれていない。つまり開放F値の異なる同じ焦点距離を刻んで出して来たのだ。F3.5モデルは非球面レンズの他はSLDガラスが1枚だったが、本レンズではそれが2枚に増え、FLDガラスまで採用されている。
開放絞りF2と、大口径といえるF値となったため当然F3.5モデルよりもサイズはアップしている。とはいえIシリーズだけあって、目立った巨大化はしていない。画質至上主義はArtラインに任せて、こちらは節度あるサイズアップにとどめているのだ。
とはいえF3.5モデルはSIGMA fpシリーズ単体ボディと非常にバランスが良いコンパクトさであったが、本F2モデルは大柄になった分、SIGMA fpと組み合わせるとレンズの存在感は大きくなる。しかし「ギリギリSIGMA fpシリーズの世界観を壊さない範囲」といえるだろう。とはいえバランスで言うならばLマウントならLUMIX S5、もしくはソニーEマウント機と組み合わせた方がしっくりくるだろう。
高い質感と操作性の良さはシリーズ共通
さてその造りだが、相変わらずの高い質感。ローレット加工された花形フード、鏡筒の質感や合成など文句なしだ。絞りリングのクリック感もカリカリと心地よく、AF/MF切り替えは円弧方向の、これまたフィールの良いスイッチを採用している。Iシリーズのレビューでは何度も繰り返して申し訳ないが、実に持って使って心地よく、所有欲をも満たしてくれる存在だ。
本レンズにはプラスチック製のものだけではなく、マグネット式メタルキャップも付属している。これもまた質感は高い。ただマグネット式メタルキャップはフラットなデザインのため、フード使用状態のままだと着脱しにくいという欠点もあり、他のこのシリーズででは気になっていた。が、この24mmF2ではフードの口径が大きく浅いので指が届きやすく、フードを使用状態にしたままでも着脱しやすいのは嬉しい誤算だ。
最短から1~2㎝離れるだけで、画質の低下は止まります
さて画質面を見ていくが、本レンズはゴーストの発生をしっかり抑えている。実は今回、良い天気に恵まれず撮影に手間取ったが、うっすら雲がかかりつつも日差しが強いタイミングでテスト。太陽の位置が高い昼では露出的にオーバーになるが、周辺などいろいろな位置に太陽を配置してもゴーストの発生はなかった。午後になって少し絞りながらのテストも行ったが、今回のテストでは発生は無し。優秀だ。
続いては解像感。絞り開放では、端だけではなくある程度広い範囲で周辺は甘さを見せる。前述のF3.5モデルの開放と比べると少しいいかな?といった程度。しかしそこから1段でも絞ればキレを見せてくれる。比較の拡大カットでは(やや位置がずれてしまったが)石段の輪郭の出具合がはっきり違う。また、開放では周辺光量の低下もありやや暗くなっているが、この周辺光量の低下はF3.5よりは断然少なくなっている。
最短撮影距離は24.5cmで1:6.7までの撮影倍率と、F3.5モデルよりも寄れないのが残念だが、それでも作例の桜程度には寄れる。本当の最短ではややポヤっとするが、そこから1cm、2cm離れるだけでそれは収まる。本当にギリギリのところで止めているようだ。
さてさて総合的に見てみると、F3.5からF2.0となり、本来はもっと大きくなってもおかしくないところをわずかなサイズアップに抑え、画質の向上はしているがその度合いとしてはやや控えめ。F3.5の高画質版と捉えるよりも、αやLUMIXを使っている方がF3.5モデルと同様の感覚で使えるようにしたレンズといっていいのではないだろうか。
逆にSIGMA fpシリーズをお使いの方が日常使いに気軽に持ち歩くならF3.5モデルの方が幸せになれるのでは、と筆者は思う。しかし何よりもF2.0という開放絞りが使えることでボケを使うなどの楽しみが増えるのはたしかで、常用してもその開放での独特な雰囲気は味わえるだろう。F3.5モデルとの実売価格の差はそれほど大きくないため、何を優先するかでしっかり選択したい。筆者?ええ、もちろん両方使ってます(笑)