昨今、各社から投入されるミラーレス上位機が「けっこうなお値段」ということもあり、なぁーんか相対的に「身近」になった感のあるライカ。そう、無理すれば買えないこともなくもない…(買わないけど)。ということで、今さらライカ/今からライカ。最新機種であるライカ M11を河田一規氏がレビューしますー。 

ライカ M11主なスペック

画像: ライカ M11主なスペック

まずは「デジタルのM型ライカ」のおさらいです

ライカM11が2022年1月21日に発売された。で、具体的にどこが変わったのかをこれから書いていくわけだが、デジタルのM型ライカに対する予備知識がないとM11の進化を理解しにくいと思うので、まずはこれまでのデジタルM各機の主な特徴を発売順にまとめてみた。そんなことは知ってるわい!というライカファナティックな方は読み飛ばしてください。

ライカM8 2006年

画像: ライカM8 2006年

撮像素子はAPS-Hサイズのコダック製1030万画素CCD。最高シャッター速度は1/8000秒だが、後に静音化を目的に最高シャッター速度を1/4000秒に落としたライカM8.2も発売された。

撮像素子前面の赤外カットフィルターの効きが弱くて、黒いナイロンなどを撮影すると紫色ぽく写ってしまう問題を抱えていたが、レンズ前面に装着するUV/IRフィルターを用意することで対応。

M型ライカなのに画面サイズがライカ判(=フルサイズ)じゃないことには賛否(主に否)が寄せられた。

ライカM9 2009年

画像: ライカM9 2009年

M8ではAPS-Hだった画面サイズがフルサイズ化され、フィルムのM型と同画角で撮影できるようになったことが広く歓迎される。撮像素子はコダック製1800万画素CCD。次機種以降はCMOS化されたこともあり、最後のCCD搭載M型ライカとして評価する人も多い。

ボディデザインや使用バッテリーはM8と基本的に同じ。このM9をベースとして、ボディ正面の赤バッジを廃し液晶モニターをサファイヤガラスにしたM9-Pや、モノクロ撮影専用のMモノクローム、仕様を簡略化して少しだけ安価にしたM-Eなどの派生機種も登場した。

ライカM [Typ240] 2013年

画像: ライカM [Typ240] 2013年

2400万画素CMOSを搭載。M型ライカとしては初めてライブビューと動画撮影が可能となり、オプションで外付けEVFも用意された。ライブビューと動画に対応するためか、M8やM9に比べるとバッテリーも大型化されている。

外観的にM型ライカの特徴のひとつでもあったブライトフレーム用の採光窓が廃止され、ブライトフレームはLED光で表示される方式になった。M9までは画処理をソフトウエアで行っていたが、この機種からハードウエア処理となり、撮影→書き込み等のレスポンスが向上。

このライカMをベースに、ボディ前面の赤バッジを廃したM-P[Typ240]や、モノクロ撮影専用機のMモノクローム[Typ246]、背面液晶モニターを廃したM-D[Typ262]などの派生機種が登場した。

ライカM10 2017年

画像: ライカM10 2017年

フィルム時代のM型並みにボディが薄型化されたことが最大の特徴。撮像素子はTyp240とは異なる新設計の2400万画素CMOSを搭載。Typ240に引き続きライブビューは可能だが、動画撮影機能は省かれた。

外付けEVFビゾフレックはボディとの接点が変更された新タイプにモデルチェンジ。ボディ上面左手側にはフィルムM型ライカの巻き戻しノブを彷彿とさせる形状のISOダイヤルが搭載された。

このM10をベースにタッチ操作や静音シャッターを備えたM10-Pや、液晶モニターを廃してフィルム巻き上げレバーを模したサムレストを備えたM10-D、モノクロ撮影専用でなおかつ4000万画素まで高画素化されたM10モノクローム、そのM10モノクロームをカラー化したM10-Rなどが派生機種として登場した。

ライカM11 2022年

画像1: ライカM11 2022年

という経緯の末に登場したライカM11。スペック的にもっとも大きなトピックはやはり6030万画素に高画素化されたことだろう。「M10-Rの4000万画素でも足りない!」という声がどれだけあったのか分からないが、これでソニーα7R IVやシグマfp Lの6100万画素と並んで、現行フルサイズ機としてはもっとも高画素なモデルになった。

また、6030万画素も要らないという声が出ることを想定してか、画素数を3600万画素、もしくは1800万画素に変更できる「トリプルレゾリューションテクノロジー」と称する機能を搭載。JPEGだけでなく、RAWの画像サイズも変更でき、解像性能が最新レンズほど高くないオールドレンズにお勧めの機能としている。

低画素化するに当たっては複数の画素を結合するピクセルビニングを行うことでダイナミックレンジが広くなる効果もあるそうだが、これについては簡易な実験を行ったので後述する。

画像2: ライカM11 2022年

撮像素子そのものはM型ライカとしては初めての裏面照射型CMOSで、赤外線カット/紫外線カットフィルターは備えているが、歴代のデジタルMと同様にローパスフィルターは非搭載。

フィルム時代のオールドレンズが持つ描写特性を極力損なわないよう、フィルターセットが極薄化されているのもこれまでのデジタルMと同様だ。ベース感度はM10のISO100より2/3EV低いISO64となっている。また、前モデルのM10と同じくライブビュー機能は備えているが、動画機能は省かれた静止画専用機である。

外付けEVFのビゾフレクスも引き続き使用可能で、新アクセサリーとして370万ドットに高解像度化されたビゾフレックス2も発売される。このビゾフレックス2はチルト可能だが、繰り返しチルトしてもロック機構が緩くならないようにマグネットを使ったロック構造を採用している。

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