キヤノンが昨年12月に発売したRF5,2mmF2.8L DUAL FISHEYE。同社ハイエンド高画素ミラーレス一眼EOS R5と組み合わせることで、簡単に180度の高品位な3D VR映像の撮影を可能にするレンズだ。短期間だが試用の機会を得たのでVR撮影を試してみた。独特なフォルムのレンズ外観

RF5.2mmF2.8L DUAL FISHEYE 主な仕様

画像: Lens Impression!
キヤノン RF5.2mmF2.8L DUAL FISHEYE
●実勢価格:27万5000円(税込)
photo&text:宇佐見健

●焦点距離:5.2mm
●最短撮影距離:0.2m
●最大撮影倍率:0.03倍
●レンズ構成:10群12枚
●最小絞り:F16
●絞り羽枚数:7枚
●フィルターサイズ:後部にゼラチンフィルターを装着可能
●大きさ・重さ:φ121.1×53.5mm・約350g
●付属品:ケース

なんとなく「紅の豚」…独特なフォルムのレンズ外観

画像: いわゆるステレオ撮影用レンズと同様に2個横並びになったレンズは焦点距離5.2ミリF2.8の円周魚眼レンズ。人間の瞳とほぼ同等の間隔で配置されたレンズの視差により、画像や映像の立体視が可能になる。二つの目玉が目立ち過ぎてまるで豚鼻のようだが見慣れると愛嬌があるようにも感じる。

いわゆるステレオ撮影用レンズと同様に2個横並びになったレンズは焦点距離5.2ミリF2.8の円周魚眼レンズ。人間の瞳とほぼ同等の間隔で配置されたレンズの視差により、画像や映像の立体視が可能になる。二つの目玉が目立ち過ぎてまるで豚鼻のようだが見慣れると愛嬌があるようにも感じる。

画像: ピント合わせはマニュアルフォーカスのみで範囲は0.2m~無限遠。二つのレンズを同時に動かすピントリングは1/4回転(約90度)程度の回転角。最短撮影距離側でレンズが約1ミリほど繰り出す。左右のレンズでピントのズレが生じたときは、画像のようにレンチで調整できる。

ピント合わせはマニュアルフォーカスのみで範囲は0.2m~無限遠。二つのレンズを同時に動かすピントリングは1/4回転(約90度)程度の回転角。最短撮影距離側でレンズが約1ミリほど繰り出す。左右のレンズでピントのズレが生じたときは、画像のようにレンチで調整できる。

画像: レンズ後部にはシートフィルター用のポケットを装備。NDフィルターを自分でカットして利用可能。パッと見、なんだかわからない、スゴイ画像だ。

レンズ後部にはシートフィルター用のポケットを装備。NDフィルターを自分でカットして利用可能。パッと見、なんだかわからない、スゴイ画像だ。

撮影中のファインダー/液晶モニターの表示

画像: 撮影中のファインダー/液晶モニターの表示

左右の像(の中)に共通してある歪曲した白枠は、マジックウインドウと呼ばれるVR映像に仕上げた際のおおよその表示範囲。その中にある白枠はピント拡大再生時の範囲。拡大表示の左右レンズ切り替えはinfoボタンひと押しで簡単に行える。レンズ自体の画角は190度あり、そのうちの約180°の画角分を使用してVR映像をつくる仕組みだ。

撮影時のEVFや背面液晶モニターのライブビューには、フレーム内に左右それぞれのレンズを通した像が横に並ぶ。
マニュアルフォーカスでのピント合わせは表示画像が小さいこともありそのままの状態ではピントの山は掴みにくい。ピーキング表示は補助として有効だが、拡大表示に切り替えて確認したほうが確実に行える。

この時、画角の広い魚眼レンズ故に三脚の先端や撮影者自身の足などが画面内に写り込まないようにピント確認と同時にぐるっと画面周辺も拡大表示でチェックすると良いだろう。

手持ち撮影も試してみたが、ライブビューモードでカメラを前方に突き出すようにしないと自分のつま先が写り込んでしまう。一瞬で撮影が済む静止画撮影ならまだしも動画撮影で一定時間カメラを安定して保持することは相当な腕力が必要。このレンズはセンサー駆動の手ブレ補正機能対応外なこともあり、基本的には三脚の使用が無難だろう。

専用アプリにてVR映像として書き出す

画像: EOS VR Utilityではファイル形式と解像度の選択のほか、水平補正や余分な部分をカットして動画の尺を調整するなのどの簡単な編集が行える。最低限の機能でインターフェースもシンプルなアプリだ。

EOS VR Utilityではファイル形式と解像度の選択のほか、水平補正や余分な部分をカットして動画の尺を調整するなのどの簡単な編集が行える。最低限の機能でインターフェースもシンプルなアプリだ。

撮影した静止画や画像は、当然のことながら魚眼横並びの撮影画面表示そのままに記録されている。これを専用ソフト"EOS VR Utility"にてエクスポートすることで初めてVRとしての視聴が可能になる。"EOS VR Utility"は無償でキヤノンのwebサイトからダウンロード/インストールが可能だが、動画エクスポートは不可など、有償プランに切り替えない場合は機能に制限がある。

撮(録)ってみましたー

画像: webカメラマン CANON RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE 3D VR 作例 ヒヨコ youtu.be

webカメラマン CANON RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE 3D VR 作例 ヒヨコ

youtu.be
画像: webカメラマン CANON RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE 3D VR 作例 ヤギ youtu.be

webカメラマン CANON RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE 3D VR 作例 ヤギ

youtu.be

どちらもEOS R5のプログラムAE動画モードで撮影した4K動画を尺の調整のみ行ったVR動画。ちょっと育ったヤンチャなヒヨコ達をVRで。さらに「袖ヶ浦・ふれあい動物縁」のヤギの縦社会。

*パソコンで視聴する場合は再生画面をマウスでドラッグすることで視野を上下左右に移動できる。
*スマートフォンでなどで視聴する場合は、画面を横にしてデバイスをかざす方向を変えるか、画面を指でスワイプして視野の移動が可能。右下に現れるゴーグルのアイコンをタップするとVRゴーグル(別途必要)での3D(立体)VR視聴が可能。

画像: 撮(録)ってみましたー
画像: こちらは静止画です。草間弥生のアート作品とスクールバスの運転席を上から。EOSR5の静止画モードで手持ち撮影した画像をEOS VR Utilityで正距円筒図法で書き出したもの。こちらはVRゴーグルが無くてもステレオ写真を見慣れた人なら平行法や交差法で立体視ができるはずなのでチャレンジされたし。

こちらは静止画です。草間弥生のアート作品とスクールバスの運転席を上から。EOSR5の静止画モードで手持ち撮影した画像をEOS VR Utilityで正距円筒図法で書き出したもの。こちらはVRゴーグルが無くてもステレオ写真を見慣れた人なら平行法や交差法で立体視ができるはずなのでチャレンジされたし。

以上極めてざっくりとRF5,2mmF2.8L DUAL FISHEYEレンズの概要とどのような撮影ができるかを紹介した。レンズの詳しい仕様などはメーカーWEBサイトで確認されたし。レンズ単体で27万5000円(オンラインショップ税込み価格)と高価ではある。

が、高性能な魚眼レンズが2本入った特殊な構造のレンズなのだからと言われば一瞬お得な気にもなる…かどうは別として、現時点ではEOS R5専用であることも考えれば「ちょっとこれで遊んでみよう」と手を出すには恐れ多い存在。

本来はメーカーWEBサイトのサンプル動画にもあるように、アーティストのパフォーマンスやウエディングシーンなどの臨場感を記録してVR映像として再現するための業務や動画クリエーター向けのアイテムである。

今までのVR撮影では左右2台のカメラの設置位置のズレや露出、色調などの差の調整はもちろん、撮影およびデータ取り込みなど実に多くの作業工程を必要であった。

しかしそのワークフローがEOS R5にこのレンズを装着するだけで大幅に省略できてしまう。既存のビデオグラファーだけでなく静止画ユーザーにもVR映像への門戸を大きく広げる超画期的なアイテムなのだ。

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