ムックではスペースの都合でボツになったが、ソニーユーザーであれば、FE35mmF1.4GM(以下、GM)とシグマの最新レンズ・35mmF1.4 DG DN Art(以下、Art)の違いは気になるところだろう。◆外観・操作性

外観・操作性

画像1: 外観・操作性
画像2: 外観・操作性

手にとってみてすぐ分かるのが重量。524gのGMに対してArtは645gと約120gの差。α7R IVと組み合わせそれぞれ1時間半ほどスナップ撮影してみたが、1時間を越えた辺りでGMが軽い分だけ楽、の印象だった。

使用感はどちらも上質で甲乙付け難いが、実用品として優れているのはGM。その理由はフード。GMは脱着し易く、フードを下にして安定して置けるのが良い。Artはフードの遮光効果は高そうだが、フード下で置くことができないのだ。

シーン1

画像1: シーン1

いくつかのシーンで実写比較してみた中から気になった項目を紹介したい。
まず写りの傾向を簡単に紹介すると、Artは基本的に高性能も、少しだけ「味」のある高性能に振った印象。部分拡大よりも明らかに全景の方が好ましかった。つまりこうした比較では不利ということ。

対するGMはあらゆる条件で安定したシャープネスと柔らかなボケ味を持つ上質な優等生。作例(バラの写真)では約30-40cm程度の撮影距離。中央部のキレはほぼ互角。強いて言えばArtの少し柔らかな描写を個人的には好ましく思う。

画像2: シーン1
画像: 左がシグマ。画面全体の雰囲気としては、GMが上質な印象で、Artは情緒的だ。観察してみて色収差が少ない、もしくは目立たない色であるのはArt。GMは若干パープル系統の収差が見つかることがある。ともあれ補正は簡単なので大きな差ではないと思う。

左がシグマ。画面全体の雰囲気としては、GMが上質な印象で、Artは情緒的だ。観察してみて色収差が少ない、もしくは目立たない色であるのはArt。GMは若干パープル系統の収差が見つかることがある。ともあれ補正は簡単なので大きな差ではないと思う。

周辺部のボケ方を見てみると、Artは少し輪郭が残るボケ方をしていて、タイルの目地など規則的な模様があるシーンでは少し煩く感じるかも。GMはキレイに滲んで輪郭が気にならない。

αのボディ内補正に関しては、ブラックボックスなので何とも言えないのが正直なところ。となると「じゃあArtもシグマfp Lで撮るべき」との声も出そうだが、それは、まあ…もっと差が出そうな予感が…。

シーン2

画像1: シーン2

遠景では全体的にGMが優位。拡大すれば明らかな差に見えるだろうが、全景では拡大時ほどの差は感じられない。どちらも十分に良い描写だ。

画像2: シーン2
画像: どちらも左がシグマ。日中に遠景を絞り開放で撮るというのはテストの為のテストである旨は明記しておきたい。f/5.6まで絞らないとArtはGMと同等の安定感とはならなかったが、比べてみて初めて気になるのであって、基本的な画質はArtの名に恥じぬものだ。

どちらも左がシグマ。日中に遠景を絞り開放で撮るというのはテストの為のテストである旨は明記しておきたい。f/5.6まで絞らないとArtはGMと同等の安定感とはならなかったが、比べてみて初めて気になるのであって、基本的な画質はArtの名に恥じぬものだ。

筆者が注目したのは、描写よりもAFの精度。GMの方が選択した枠内で正確にAF出来ているのに対して、Artはやや前後する印象がある。これはIシリーズと純正レンズの比較をした際にも感じたが、純正同士の組み合わせはAF性能に少しだけアドバンテージがあるように思う。

総合的には9万円近い差額が生じるが、比較してみるとGMには差額を納得させる細かな点がいくつも発見できた。Artの描写は高性能だけど優等生ではなく特徴がある描写。よって、こうした拡大画像だけで比較されるといかにも不利な印象を受けてしまう。それでも「Art」を冠した理由はがより明確になったとも感じられた。

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