写真愛好家の基礎資格「フォトマスター検定」と文部科学省選定社会通信教育である「写真作品創作塾」を運営する公益財団法人国際文化カレッジでは、写真作品の発表の場として「総合写真展」を開催している。この公募展は年1回開催されるもので、本年で24回を数える歴史あるものだ。今回の企画第2回目では、過去の受賞者の作品を見ていただくとともに、プロフォトグラファーの金森玲奈さんに作品作りの視点などについて語ってもらいました。
第1回の記事はこちら
https://cameraman.motormagazine.co.jp/_ct/17344089

写真展応募に必要な視点や注意点など(金森玲奈さん)

写真展やコンテストに応募する時の一番の動機は、自分の写真を人に見てほしいという想いからでしょう。写真はそこで起こった出来事を伝えたり、想いを共有できる媒体です。私はいわゆる「構図」という言葉は、こういう被写体だからこういう撮り方をするべきというのとは少し違い、目の前の出来事が自分にはどう見えているか、それをどう残したいのかの先にあるものだと考えています。まずは自分が何を伝えたくて写真を撮ったのか、自分自身と向き合ってみてください。漠然とシャッターを切ったものと意思を持ってシャッターを切ったものの違いは自分が一番良く分かるはずですし、見る側にも伝わります。人からどう見えるかではなく、自分が良いと思った写真を選ぶことも大切だと思います。写真コンテストは便宜上賞や入選者を選びますが、あくまで優劣をつけるためではなく感動を共有する場だと思ってもらえたらと思います。そういった視点から過去の入選作を見てみたいと思います。

第22回優秀作品「春風」

画像: 石戸 俊夫さん

石戸 俊夫さん

写真は映像とは違って一瞬を切り取るものです。狙って撮れるものもあれば、偶然の出会いもあります。この作品はその偶然の出会いの一瞬を逃さなかったことで生まれたものです。作者は道行く人を狙っていたのでしょうか。通りがかった女性の長い髪が強風に煽られて、まるで意思を持った生き物のようにも見える絶妙な瞬間を見事に捉えています。偶然の出会いを捉えるのは決して運だけではなく、その一瞬を捉える前の事前の心構えとカメラの準備が実を結んだ作品と言えます。

第22回優秀作品「共に歩む」

画像: 林 奈月さん

林 奈月さん

静かにこちらに向かって歩を進める象の親子。おそらく動物園で撮られたものと思われますが、画面いっぱいにこの親子だけをフレーミングしていることで、動物園のイメージは微塵も感じられず、ストレートに被写体だけに目が向く効果が得られています。唯一、二頭が踏み出そうとしている足元に人工物の質感を感じますが、それがかえって大自然から人間の世界に抜け出してきたようにも見えて、その境界を超える瞬間を捉えているのも作者の何かしらの意図を感じるようで興味深かったです。写っているものから想像力が膨らむような余韻のある作品だと思います。

第22回準大賞作品「ありがとう」

画像: 伊東 祐紀さん

伊東 祐紀さん

スヤスヤと眠る赤ちゃんと、そんな我が子を愛おしそうに見つめるお母さんの幸せそうな笑顔がとても素敵な作品です。赤ちゃんとお母さんを画面いっぱいにフレーミングしたのは、今はこの二人しか目に入っていないという作者の気持ちが現れているようで、なんとも微笑ましいですね。目の前のシーンをどう切り取るかが撮影者の意図や想いを見る人に伝える大事なポイントになります。写真の撮り方に正解はありません。自分が残したい瞬間は何か、どういう風にその場面を残したいのかという気持ちを強く持ってシャッターを切れば、それは見る人にきっと伝わると思います。

第23回優秀作品「厳冬の釧路川」

画像: 中村学さん

中村学さん

川が凍るほどの極寒の中、白煙を上げて走る蒸気機関車の勇姿を見事に捉えています。広角域の焦点距離で手前に凍った川を大きくフレーミングしたことで、主役であるSLのサイズは小さくても画面上の存在感は強く感じることができますし、SLを取り巻く状況もよく伝わってきます。横に長く走る電車などを撮る時は横位置を選択しがちですが、縦位置で切ることで作者の視点がよりダイレクトに伝わる効果も得られています。撮りたいイメージを明確に持った作者の視点を写真に落とし込む技術と、この瞬間を捉えるために費やした時間と忍耐力が光る作品です。

フォトコンテストに参加してみよう

写真が好きで数々の作品を撮り溜めている人や、自分の作品を多くの人に見てもらいたいと考えている写真愛好家の人が多いと思います。その想いを実現する絶好の機会がフォトコンテストです。コンテストに出展することで誰かとその写真を共有するきっかけが生まれますし、入選した人の写真を見て新しい世界に興味の幅が広がることもあるでしょう。コンテストに応募することで自分の写真に足りない部分がわかったり、その作品をたくさんの愛好家の人に見てもらう、そんなことも写真の楽しみ方の一つだと思います。コンテストに入賞したり、表彰されたりといったことになれば、もっと写真が好きになると思います。今回は今までの受賞作について、プロフォトグラファーの金森玲奈さんが感じたことを語ってもらいました。作品制作に役立ててもらえればと思います。

金森玲奈先生略歴

画像: 金森玲奈先生略歴

1979年東京都生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。在学中より都会の片隅に生きる猫の姿を撮影してきた。東京芸術大学付属写真センター勤務等を経て2011年よりフリーランスとして活動を開始。近年は身の回りの何気ない瞬間や国内外の旅先の風景、けがと障害がきっかけで引き取った二匹の飼い猫との日々を撮り続けている。
http://kanamorireina.com/

是非出品してみよう!

本年の第24回総合写真展は12月4日(金)から同月10日(木)まで開催される。会場は前述のとおり東京都美術館。作品受付は始まっており、受付締め切り期限は6月25日(木)まで。まずは「出品要項」を国際文化カレッジより取り寄せる必要があることを覚えておきたい。出品要項には、出品に関する費用やスケジュールなどの詳細も書かれています。不明な点は気軽に問い合わせができるので、ぜひ傑作をものにして、この総合写真展でお披露目してはどうでしょう。

詳細や出品要項はこちら

総合写真展
総合写真展は、誰でも気軽に応募できる我が国最大級の公募展です。あなたも参加して上位入賞を目指しませんか?詳しくは無料の出品要項でご確認を。
ご案内はこちら。
https://shashinten.info/

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