山下隆博写真展「イディンダカライに沈む夕日 Sunset in Idinthakarai」が9月17日(火)まで、銀座ニコンサロンにて開催中です。
山下さんが、インド最南端の原子力発電所の横にあるイディンダカライ(Idinthakarai)という漁村を訪れ、その地に住む人々や風景を撮影した写真が展示されています。

写真とノートの1片から知ること

写真展では、山下さんがイディンダカライに住む人々や風景を撮影したモノクロ作品が展示されています。被写体となった漁村の人々の表情や風景からは、淡々と静かで穏やかな時間が流れているような、そんな日々の印象を受けます。
写真の横にはアクリル板に挟まれたノートの1片も展示され、そこには、女の子がお絵かきを楽しみながら書いたような絵や、私には読めない文字が書かれ、一目見ただけでは誰が何を書いているのか想像できませんでした。
山下さんにお話を伺うと、山下さんが撮影をした漁村の人たちに「未来現在過去のことをなんでもいいから書いてくれ」と伝えノートを渡し、そして戻ってきた1片だそうです。
会場には、アクリル板を自由に動かして良いように白い手袋が置かれています。手袋をはめ、アクリル版を手に取り動かしてみると、その後ろには英語と日本語に訳した紙が現れます。
そこで私ははじめて彼ら彼女らが、何を思い考え、ノートの1片に書いたかを知りました。
私は、最初に写真を見た時に感じた主観的な印象と、彼らがノートに書いた内容を知ることで、自分の中に先ほどまでとは異なる、新しい感情や視点が上書きされていることに気づきました。

画像: A.Rishaちゃんという少女の写真の横には、彼女が書いた絵とタミル語で書かれたノートの1片が並ぶ。そこには「私はこの村が好き。先生も好き。この村に原子力発電所が立って、危険と隣り合わせになったことは、たくさんの人に影響を与えている。」と書かれている。

A.Rishaちゃんという少女の写真の横には、彼女が書いた絵とタミル語で書かれたノートの1片が並ぶ。そこには「私はこの村が好き。先生も好き。この村に原子力発電所が立って、危険と隣り合わせになったことは、たくさんの人に影響を与えている。」と書かれている。

画像: 写真とノートの1片から知ること
画像: 山下さんは、鑑賞者が写真を見て終わるだけでなく、面倒かもしれないけれど、手袋をはめアクリル板を動かす行為や訳語を読むことで、鑑賞者にとって「知る」ことがあるのではないかと考え、今回の展示に至ったそうです。

山下さんは、鑑賞者が写真を見て終わるだけでなく、面倒かもしれないけれど、手袋をはめアクリル板を動かす行為や訳語を読むことで、鑑賞者にとって「知る」ことがあるのではないかと考え、今回の展示に至ったそうです。

画像: 写真家の山下隆博さん。今日、着ているTシャツは北海道木古内町のご当地Tシャツ。訪れた地のご当地Tシャツを着るのが好きとチャーミングな笑顔を見せてくださった山下さんでした。会場では山下さんのポートフォリオや写真集もご覧いただけます。

写真家の山下隆博さん。今日、着ているTシャツは北海道木古内町のご当地Tシャツ。訪れた地のご当地Tシャツを着るのが好きとチャーミングな笑顔を見せてくださった山下さんでした。会場では山下さんのポートフォリオや写真集もご覧いただけます。

展覧会情報

山下隆博写真展「イディンダカライに沈む夕日 Sunset in Idinthakarai」

【東京】
会期:2019年9月4日(水)~ 2019年9月17日(火)まで
会場:銀座ニコンサロン
住所:東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1階  
電話: 03-5537-1469
開館時間:10:30~18:00(最終日15:00まで)
休館日:日曜日

【大阪】
会期:2019年9月26日(木)~2019年10月9日(水)まで
会場:大阪ニコンサロン 
住所:大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト·オフィスタワー13階
電話:06-6348-9698
開館時間:10:30~18:00(最終日15:00まで)
休館日:日曜日

山下隆博(ヤマシタ タカヒロ)さんプロフィール

1984年 北海道生まれ
2005年 日本写真芸術専門学校二部卒業
現在は東京を拠点に、インドの社会問題や河川環境、原発問題などを主な題材として活動をしている。

個展
2017年 「眺めのいいところ」no.18 skyisland/高雄、台湾
2017年 「眺めのいいところ」TAPギャラリー/東京
2017年 「眺めのいいところ」小路上藝文空間/台北、台湾
2016年 「多摩川をなぞる陽々」澤乃井ガーデンギャラリー/東京
2016年 「海から来た」時さえ忘れて/福島
2016年 「わすれて、わすれないで、、」TAPギャラリー/東京
2015年 「吹雪の日/凪の海」有島記念館/北海道
2015年 「吹雪の日/凪の海」東塔堂/東京
2015年 「これまでのつづき」space dike/東京
2014年 「心の温度」ニコンサロン/東京、大阪
2013年 「UMIYAMAYUKINO」キチジョウジギャラリー/東京
2012年 「多摩川をなぞる」Place M/東京
2012年 「わすれて、わすれないで、」TAPギャラリー/東京
2011年 「奇跡の傍らで眠る」810ギャラリー/大阪
2010年 「Suicide Spiral-tears and birds twittering-」ニコンサロン/東京、大阪
2009年 「この流れの彼方-多摩川-」トーテムポールフォトギャラリー/東京
2007年 「多摩川の陽々」コニカミノルタプラザ/東京

グループ展
2019年 「TOKYO DOCUMENTARY PHOTO 2019」キチジョウジギャラリー,gallery kai/東京
2018年 「Le Temps des Villes Indiennes」ENSA Paris Malaquais/パリ,フランス
2016年 「PHOTO BEIJING 2016」北京/中国
2016年 「DAEGU PHOTO BIENNALE 2016」大邸/韓国
2016年 「日本の写真-新たなる世代-」 BOOK MARUTE/香川
2016年 「日本撮影新時代」綠光+marute/台中,台湾
2016年 「日本撮影新時代」田園城市藝文空間/台北,台湾
2014年 「川崎発、写真の未来展」川崎市市民ミュージアム/神奈川
2014年 「Jamais aussi Proche」Galerie T/パリ,フランス
2014年 「リフレクション」Place M、M2 gallery/東京
2014年 「Xishuangbanna Foto Festival 2014」西双版納(シーサンパナ)/中国
2013年 「Madurai Photography Festival 2013」マドゥライ/インド
2011年 「Zine TEN-photography-」ハッテンギャラリー/大阪
2011年 「birds in the frame」ハッテンギャラリー/大阪
2011年 「第4回写真「1_WALL」展」ガーディアンガーデン/東京

出版物
2017年 「眺めのいいところ」小路上藝文空間
2015年 「これまでのつづき」私家版
2014年 「吹雪の日/凪の海」Libro Arte
2014年 「二十二世紀写真史」A組織/掲載参加
2013年 「RÉVÉLATIONS」Le Lézard Noir/掲載参加
2010年 「この流れの彼方-多摩川」私家版

収蔵
有島記念館/北海道

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