月刊カメラマン誌で連載中の写真家・曽根原昇さん(ソネちゃん)の「現代の銘玉吟味!」のWeb版です。本誌では紹介しきれなかった現行&最新レンズの魅力を曽根原さんに作例とともに語って頂きます。レンズに関する記事(解説)は月刊カメラマン誌3月号を是非ご覧ください。
今回は2013年12月に発売された、ソニー Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAです。レンズの詳細については以下URLをクリックしてご参照ください。
1本でさまざまな楽しみ方ができるレンズ
本誌ではやや引き気味で撮影したスナップ的な作例を掲載したのであるが、ぐっと被写体に近づき開放で写せばまるで望遠レンズで写したかのような表現ができるのが標準レンズのいいところ。1本の単焦点レンズでさまざまな楽しみ方ができるのだ。F1.8と開放F値はやや控えめながら、35mmフルサイズでの撮影なら十分すぎるほど背景が大きくボケることもお分かりいただけるだろう。いや、とかく巨大になりがちな近頃の標準レンズ事情のなかでは、ツァイスの高性能規格で設計した小柄なF1.8標準レンズはむしろ貴重な存在と言える。ミラーレスカメラが注目されている現在ならなおさらだ。
高解像でシャープなピント面
枯れた雑草とのからみで猫を撮影した。F4でもボケは美しく、なおかつピント部はツァイスらしく高解像でシャープであることが見て取れる。このくらいひいて撮ると目にピントを合わせるのは結構難しいものだが、1点のAFポイントをマルチセレクターで選び、AF-Cで撮影すれば動く被写体にもらくらくピントを合わせることが可能だ。さらに人物であれば「瞳AF」が使えるし、α9/α7 III/α7R IIIには動物の瞳認識にもファームアップで対応することが予告されている。つまりミラーレスカメラならではの機能進化で、ますます本レンズの優れた特性が発揮されるようになるということだ。