写真の新たな媒体、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)この連載では写真家・中野幸英さんが、SNSから生まれた新たな文法=リテラシーを実際に投稿者と会って検証・共有していきます。今回は鈴木賢一さん(グラフィックデザイナー)をご紹介します。この記事は月刊カメラマン誌に掲載されたものです。
画像: SNS Literacy「ネコとこども、というデザイン 」、鈴木賢一さん

白い壁と白いソファー

ネコ好きの友人が紹介してくれたネコ中心のInstagram アカウントがいくつかある。ネコは好きだけど…そこまでではない自分には今ひとつピンと来なかった中で、wise01 さんのアカウントを知った。

ペットやこどもの写真にありがちな、ただ『かわいい』だけのアカウントとは少し違い、撮り手のこだわりが伝わってくる写真のシリーズ。媚びていない本当に自然なネコとこどもの写真の投稿。それだけで1 万人を越えるフォロワー数を持っている。

今回お話をうかがうため、高崎のご自宅まで遠慮もせずに向かう。住宅地を進み、車の中から通り過ぎる中にある一件の家を見つけて「ここだ」と直感でわかった。住宅地といっても山々が見渡せるような空の広い郊外で、白さと清潔さが印象的な家だ。

優しそうなご主人に中へ入れてもらうと、装飾の少ない白い壁が、窓からの光を柔らかく受けている。このwise01 さんこと、ご主人の鈴木さんの本業がグラフィックデザイナーだと聴いて、やはりと思えるこだわりが数歩踏み入れた時点で揃っている。

通された2 階のリビングで、投稿によく写っている白いソファーの実物を見た時には、すでに鈴木さんの美意識がすんなりと腑に落ちていた。

バズった理由・・不明?

訪問したのは12 月。上州名物のからっ風と呼ばれる北風が冷たさを増す中、こたつに入ってお話を伺った。2 歳になる息子ハルタくんはその横で元気に家中を動き回っている。大きな猫のはずのマイロは姿が見えない。

fc2 でのブログやmixi、Facebook とSNS を経験している中で一番鈴木さんの性に合っていたのはInstagram だったという。元々登山とマイロ中心の投稿は、ハルタくんが生まれてからというもの、マイロとハルタくんのペアが自然と中心となり、フォロアー数が自然と延びていった。

5,000 人を越えたある日、1 枚の投稿がバズった。それが紹介している3 枚のうち左の写真だ。それまで100 〜300 だったいいね! がいきなり3000 を超えた理由はいまだにわからないという。「その投稿だけが海外のコメントで埋め尽くされたので、多分どこかで紹介されたのだとは思います」

そこから鈴木さんの投稿は、がぜんマイロとハルタくんのツーショットが増えた。家族についてのポータルサイト「コモドライフ」ではコラムの連載も始めた。「僕が旅行に行っても別に誰もいいね!なんてしません。フォロアー数が少しでも増えればいいなと。‥恥ずかしいですが」と謙虚に話してくれた。
SNS では自撮りやプライベートをアップしている人も多い中で、とても1 万人のフォロアー数を持つ人の発言とは思えない。

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