『一瞬を共有する二つの心』、今回はweb版第4回。毎回一つのテーマを決めて撮影、撮り手である私・萩原がそのカットの撮影者側の意図を、モデルであるいのうえのぞみさんが撮られ手の意識を、それぞれ語るこの企画。本誌2月号で掲載したカットとは違う、いわゆるアザーカットを紹介するとともに、そのカットの撮影について語っていきます。

今回のテーマ『誘惑』その2。

その『誘惑』は、コトを始めとする誘惑ではなく、いつも一緒にいながらも、改めて私(ここでは撮り手)に誘いをかけてくる場面。私はいつも流れる時間の中で、彼女に視線を向けるたびに艶かしい姿・表情。そんな彼女にたじろぎながらもドキドキが止まらない…。

いつもと違う眼差し

シャワー浴びるとバスルームに向かった割には水の音がしない。気になってソファーからバスルームの方に目を向けると、鏡の前に座り、僕に視線を向けている。いつもと全く違う眼差しで、いつもと違う雰囲気で。
時間が止まる。
僕はおもわず唾をのんだ。

画像: ■ソニーα7RⅢ FE85mmF1.4GM マニュアル(1/80秒 絞りF1.6) WB:マニュアル ISO200 RAW ストロボ使用(Nissin Di700A+Air10s)

■ソニーα7RⅢ FE85mmF1.4GM マニュアル(1/80秒 絞りF1.6) WB:マニュアル ISO200 RAW
ストロボ使用(Nissin Di700A+Air10s)

見たことのない魅力に「誘惑」される

ベッドで目をさますと、ソファに彼女の姿。
僕が見ていることには気づいていない。もちろん見せるつもりもないのだろう。
間隙を覗くように彼女が薄暗い部屋で浮かび上がる。
素の婀娜っぽさ。
正面からは見たことのない魅力に、誘惑されていく。

画像: ■ソニーα7RⅢ FE85mmF1.4GM 絞り優先AE(1/125秒 絞りF1.6) -0.7補正 WB:マニュアル ISO1600 RAW

■ソニーα7RⅢ FE85mmF1.4GM 絞り優先AE(1/125秒 絞りF1.6) -0.7補正 WB:マニュアル ISO1600 RAW

萩原 「今回のテーマ『誘惑』、いかがだった?」
 
いのうえ 「今さら感が満載なことを言ってしまいますが…。私は“誘惑”と“誘う”は同じ意味だと思っていたんですよ。でも先日、S編集長に写真を見てもらった時に『これは誘惑じゃないじゃ~ん。誘惑っていうのは惑わす笑みがないと!』と言われちゃって…。
“誘う”+“惑わす”で誘惑なんだと初めて知った私。なるほどな~と思いました。」
 
萩原 「おお、難しくも明確な指摘だ!」
 
いのうえ 「しかも、その言い方は、誘う49%+惑わす51%と言っているような感じで。」
 
萩原 「また絶妙な分析で伝えてきたなあ〜w。」
 
いのうえ 「だからしばらくたってから惑わすが強めな誘惑に挑戦したいですね。」
 
萩原 「それをスチールで表現するためには、かなりの経験に基づく体現が必要だなあ。撮る側も大きな課題だわ。その時のためのシチュエーションを考えていかなきゃねw。」

撮影はポートレートの達人、写真家・萩原和幸さん

1969年、静岡県出身。東京工芸大学卒業。静岡大学人文学部法学科卒業。写真家・今井友一氏に師事、独立後、K&R Photograph∞を設立。フリーランスのフォトグラファーとして雑誌での撮影・執筆や広告撮影などで活動中。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。静岡デザイン専門学校非常勤講師。
www.ikkyow.com

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