【共通撮影機材&データ】■フジフイルムX-Pro1 同X100 絞り優先AE WB:オート
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顔=表情を撮らずにヒトを表現!? 想像・連想術
ゴッホの絵に古びた靴を描いたものがあり、この靴の傷み具合には生きるということの重みや日々の営みの積み重ね、そしてそれを見つめる作者の思いが凝縮されています。人そのものや労働する姿は描
かれていませんが、一足の靴がそれをすべて語っているのです。

▲顔をスパっと切り取ってフレーミングすることで、かえって犬と飼い主の関係を想像できるようにしてみた。犬を繋ぐリードの色が飼い主の服の色と同じなのが面白い。■ 23mmF2 絞りF2.8 ISO800
すぐれたドキュメンタリー写真家は、こういったものを探すのが上手です。マグカップに色違いの歯ブラシが2 本入っていることで同棲生活を表したり、群衆が同じ方角に向かって額を地面に押し付けて祈る様子でイスラムの厳格な戒律を表したりします。

▲バンコクのBTS(モノレール)の混雑ぶりをぎゅうぎゅうの車内ではなく手すりによって表現。人種や性別も様々なところがわかると思う。■ 18mmF2 絞りF2 ISO400
家の本棚を見ただけで住人の几帳面さが伝わってきたりすることは、皆さんにも経験があるのではな
いでしょうか。僕がこういったことを学んだのはアンリ・カルティエ=ブレッソンの写真集からでした。

▲文字も情報として強いので、あえてミスリードを誘うような組み合わせをして使うと面白い効果が生まれる。E・アーウィットなどはこれが非常に上手だ。■ 23mmF2 絞りF4 ISO200
多く人を撮っている印象があったのですが、仔細に見ていくと表情がわかるほどはっきり正対しているものは少なく、後ろ姿や群像が多かったのです。表情は情報として非常に強い半面、そこから先に想像を広げていく余地がありません。

▲ロンドンの地下鉄は、日本でスマホをいじっている人くらいの割合で新聞を読んでいる人が多い。その感じが伝わるように意識してフレーミング、アングルとピント位置がポイントだ。■ 35mmF1.4 絞りF1.6 WB: 電球
ISO800
先に書いたゴッホの靴は作者本人のものだという説があり、自画像として最高傑作だとする人もいま
す。詩人マラルメの名言「暗示するのは想像すること、定義するのは殺すこと」という言葉も、この機
会に考えてみてください。
今回のポイントは3点!
❶表情を撮らずに人を撮るのも一つのテク
❷あえて切り取ることで想像させる余地を残す!
❸窮屈になり過ぎないようユーモアをも入れる
撮影・解説は自称「最後の文系写真家」内田ユキオさん
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▲内田さんのブログについてはプロフィール写真をクリックしてください。
www.yuki187.com公務員を経てフリーフォトグラファーに。自称「最後の文系写真家」。モノクロのスナップに定評があり、ニコンサロン、富士フォトサロンなどで個展を開催。月刊カメラマン誌をはじめ、新聞、雑誌に寄稿し、写真教室の講師など精力的に活躍中。主な著書には「ライカとモノクロの日々」、「いつもカメラが」など。